「ツインズ移籍」前田健太の“ローテ入り”に立ち塞がる因縁のライバル

 ライバルは元チームメイト!?

 マエケンこと、前田健太投手のミネソタ・ツインズ移籍が発表された。ドジャースではペナントレース終盤、リリーフに配置変えされることも多く、「先発登板数による出来高払いを結んでおり、球団がそれを渋って払わないための配置換え」との憶測も聞かれた。前田は今回のトレード移籍で、シーズンを通して先発ローテーションを守り通す決意を語っていたが、取り巻く状況はドジャース時代に劣らず厳しいものになりそうだ。

 ローテーションの3番手以降に不安があったツインズは、19‐20年オフ、ホーマー・ベイリーとリッチ・ヒルという2人のフリーエージェント投手を獲得している。昨季はホゼ・ベリオス、ジェイク・オドリッジ、カイル・ギブソン、マイケル・ピネイダ、マーティン・ペレスの5人が2桁勝利を挙げたが、そのうち4人がFAとなり、ギブソン、ペレスの2投手が流出していたからだ。

「予想される先発5人枠は、ベリオスと残留したオドリッジとピネイダが当確。オフに獲得したベイリーも実績があり、マエケンはヒルとともに5番手を争うことになりそうです」(特派記者)

 ベイリーは2度のノーヒットノーランを達成した実力派右腕。33歳の働き盛りであり、ローテーション入りは確実だ。残り1人枠を左腕・ヒルとマエケンが争うと見られているが、そのヒルは、19年までドジャースに在籍しており、マエケンの同僚でもあったのだ。

「ヒルは遅咲きの左腕と言われています。07年に先発で11勝を挙げましたが、その後は長期にわたる不振に陥り、16年に久々の2桁勝利を収めました。技巧派で粘り強いピッチングが持ち味です」(在米ライター)

 ヒルは昨季13試合しか先発していないが、4勝1敗、防御率は2.45、75奪三振と存在感を見せている。登板数が少ないのは故障による出遅れだ。このヒルの出遅れが、昨季、マエケンが先発ローテーション入りできた要因ともいわれている。

「ヒルはオフの間、左肘にメスを入れています。ヒル獲得の際、ツインズは6月から戦線に復帰する予定だと話しています」(同前)

 つまり、マエケンは6月まで勝ち続けなければ、ヒルと入れ換えられる恐れがあるというのだ。しかも、ツインズの先発ローテーション候補はヒル以外全員、右投げ。左腕・ヒルに有利な状況にあり、マエケンは結果を出し続け、「オレ以外の右投手を落とせ!」とアピールしなければならない。

「マエケンは好投手ですが、アメリカのファンは『リリーフもでき、連投も可能。安定したリリーバー』とも捉えています。ファンはマエケンをリリーバーにした布陣を望んでいるのかもしれません」(同前)

 移籍してもまたヒルと「残り1枠」を争うとは、皮肉な限り。今季も試練のシーズンとなりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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