東北楽天ゴールデンイーグルスがファン、報道陣をシャットアウトする「非公開練習」に踏み切った。
〈2月3・4 AM 非公開練習中のため球場内立入禁止>
その通達看板の先から、グラブの捕球音と指示を出すコーチの声が聞こえるだけ。三木肇監督は「色々なことの確認と、色々なことの改善になると思う」と説明してマスコミをはぐらかしたが、今回の「非公開」にはいくつか理由があった。
「楽天は内野手2人、ピッチャー2人の新人が一軍キャンプメンバーとなりました。うち、社会人、大学生が3人。一軍戦で使うつもりがあるから、サインを出してノックをするのでしょう。また、FAで加入した鈴木大地が内野の全ポジションに入ると聞いています。新人、新加入選手にサインを覚えてもらうのはもちろんですが、他選手と併殺プレーなどの呼吸を合わせる目的もあるのでしょう」(ベテラン記者)
智辯和歌山からドラフト2位の黒川史陽も一軍スタートとなった。兄は日南学園(宮崎県)で春夏連続甲子園に出場、弟は星稜(石川県)のナイン、父・洋行さんも上宮(大阪府)、同志社、社会人で活躍したという野球一家だが、三木監督は感慨深いものがあるらしい。三木監督の上宮高校時代の先輩が黒川の父・洋行さんなのだ。黒川の一軍スタートは「先輩に気を遣った」なんて冗談も聞かれたが、一軍戦力として期待しているようだ。
しかし、非公開練習の理由はこれだけではない。
「東京五輪によるペナントレースの中断が決まっています。開幕戦は昨年よりも9日も早いのに、キャンプのスタート日は前倒しできませんでした。したがって、2月の10日ごろには対外試合ができる状態にしなればなりません。全てのスケジュールが前倒しとなり、連係プレーを確認する時間がなくなりました」(球界関係者)
対外試合のスケジュールが前倒しになれば、個人練習で自分を追い込んでいく時間も削られる。そのため、「今季は全体的にエラーの多いシーズンになる」とも予想されており、楽天が非公開練習でサインプレーを行ったのもそのせいだとされている。
「オープン戦終盤、緊急でサインプレーの見直しを非公開でやるチームも出てくるのではないか」(同前)
すぐ近くで練習を見られ、気軽にサインを求められるのも、キャンプの醍醐味だ。東京五輪による球界への影響がいよいよ出始めたようだ。
(スポーツライター・飯山満)