ふるさと納税の返礼品を規制する地方税法改正案が2月15日、衆院本会議で審議入りした。豪華な返礼品を競い合う自治体の熾烈な競争にも終止符が打たれそうだ。
改正案では返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限定すると規定。6月1日以降、違反した自治体に寄付をしても、税の優遇が受けられなくなる。規制強化により、ふるさと納税ブームは終わってしまうのか。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクに訊いた。
「規制が強化されても、返礼品の魅力がなくなるわけではありません。ある意味、6月以降は自治体の腕の見せどころです。たとえば、その土地でしか入手できない希少性の高いものを発掘していけば、注目度は高まるはず。さらに〝モノからコト〟へと体験型の返礼品も増加すると予想しています。利用者は実際に足を運ぶことで、その土地の魅力を肌で感じることができますし、自治体も地域のアピールになるので一石二鳥です」(トラストバンク広報)
体験型の返礼品には、度肝を抜かれるものがある。千葉県館山市では、10万円以上の寄付で「数百匹のサメとダイビング」が体験できる。館山市の伊戸は世界屈指の〝サメの楽園〟で、多いときには500匹を超えるドチザメの大群と遭遇できる。ドチザメは温厚で人に危害を与える心配がないので、接近しても安全だという。
また、石川県穴水町では、『のと鉄道運転体験』が2万円からの寄付で体験できる。のと鉄道の列車を使用し、片道約200メートルの線路を実走。運転手気分を味わえるので、鉄道ファンにはたまらない。今後は、こうした体験型の返礼品が増えてきそうだ。
一方で、新潟県村上市の村上牛、北海道紋別市のオホーツク産ホタテなど、高還元率の美味しい返礼品の〝駆け込み需要〟が高まっていると一部メディアで報道されている。しかし、6月以降は体験型など自治体が知恵を絞った返礼品に期待大だ。
(石田英明)