「出生数90万人割れ」で露呈した中途ハンパ「少子化対策」の“無意味”

 厚生労働省が発表した2019年人口動態統計で、1年間に生まれた子どもの数を示す「出生数」が過去最少の86万4000人となり、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回ったことが明らかとなった。
 
「16年に出生数が100万人を割ったことが大きな話題となりましたが、それからわずか3年でさらに10万人減ってしまいました。出生数のピークは第1次ベビーブーム期の団塊の世代が生まれた1949年の約269万人ですので、そこからちょうど3分の1にまで減少していることになります」(社会部記者)

 厚労省は「『令和婚』の影響が出ている」と、新元号まで結婚を先延ばしに人が増えたことも出生数の減少に影響を与えたと分析しているが、ネット上では《いやいや、それが出産に影響を与えたのは微々たるものでは》《だったら来年の出生数は増えるのか?》《子供がたくさん欲しいと思っている人はたくさんいるけど、お金の問題で作れない人がほとんど》《むしろ国が少子化を推し進めてるからな。新聞が軽減税率の対象でオムツが対象外とか意味分からん》など国の対応に批判が噴出している状況だ。
 
「国立社会保障・人口問題研究所によれば、出生数が90万人を下回るのは2020年と予測していたので、想定よりも早いペースで少子化が進んでいることになります。少子化対策に成功したことで有名なフランスでは、所得制限なしで2子以上を養育する家庭には20歳になるまで家族手当が給付されたり、3人以上の子供を育てる家庭には大幅な所得税の免除があったりと子供が多ければ多いほど収入が増える仕組みになっている。一方、日本では幼児教育・保育の無償化など、プラスになるよりも“マイナスが減る”という対策が多いことから、子供を作る意欲がなかなか高まりませんよね」(フリージャーナリスト)

 晩婚化も著しい日本。小手先の対策では何ら変わらないだろう。

(小林洋三)

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