体操ニッポンは世代交代!レジェンド内村vsスーパー高校生

 レジェンドの復活か、世代交代か…。

 体操ニッポンは、内村航平、白井健三の2枚看板を失った状況で東京五輪の本番を戦うことになるかもしれない。経験値の浅い若手だけで臨んだ2019年10月の世界選手権(ドイツ・シュツットガルト)がその試金石となった。
 
「男子団体は2大会連続の銅メダルを獲得しました。谷川航と翔の兄弟、18歳の橋本大輝の活躍が光りました。彼らが内村、白井抜きでも戦えることを証明してくれました」(体育協会詰め記者)

 橋本は「スーパー高校生」とも称され、五輪後にはスター選手の仲間入りを果たしそうな逸材だ。しかし、内村・白井も代表入りのラストチャンスに懸けてくる。

 男子団体メンバー枠4人は、来春に行われる全日本選手権とNHK杯の成績で決まる。計4日間、6種目の合計点で1、2位が内定。残る2人は1、2位と組んで得点が最大になる選手が選ばれる。

「内村は31歳。白井もケガに悩まされた。体操の技が目まぐるしく進化しており、得点を伸ばせない場面が目立っていました」(同前)

 内村に”異変”が生じたのは、19年4月の全日本選手権予選だ。18年秋に肩を故障し、同年11月の世界選手権は回避。全日本選手権で復活のノロシを上げるつもりだったが、5種目の平行棒の演技中だった。いきなり顔をゆがめ、演技を止めて故障した左肩を抱え込み、そのまま動けなくなってしまった。

「8月の全日本シニアでも腰痛で、あん馬競技中に落下する場面がありました。得点を伸ばせず5位に終わりました」(同前)

 東京五輪に出場して当たり前と思われていたレジェンドの陥落…。その後、五輪出場のことを質問されても、内村は「無理でしょ?」と自虐的なコメントを発している。
 
 白井も3月に左足首を故障。その後はケガは癒えても感覚が戻らないのか、高得点が稼げる大技が決まらず、スランプに陥った。

 つまり10月の世界選手権は、若手が急成長して追い抜いたのではなく、レジェンドたちが自滅して代表漏れしたとも解釈できる。

 もちろん内村・白井とも五輪出場の選考大会に向けて、最大限の準備をしてくるだろう。団体4人の他に、個人で最大2人の出場も可能だ。とはいえ、その前哨戦とも位置づけられていた19年11月のスーパーファイナルで優勝したのは、18歳の橋本だった。内村は出場を見送っている。

 代表決定まで残り4カ月、レジェンドは最後の意地を見せることができるだろうか。

(スポーツライター・飯山満)

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