日本全国のゆるキャラの総数は約1000に及ぶらしい。ひこにゃんに始まり、ふなっしー、くまモンなど、地域認定・非認定のキャラも含めれば、その数は1200ほどにも及ぶかもしれない。まさにバブルかのごとく、日本全国どこの地域にもゆるキャラがいないところはないくらい、ゆるキャラは短期間で増産された。
そんなゆるキャラ飽和状態の中、次のブームになるかもしれないと密かに注目を集めているのが「ご当地ヒーロー」だ。
福島県白河市の「ダルライザー」は、白河商工会議所青年部が2008年に生み出したご当地ヒーロー。この誕生を描いた映画「ライズ ダルライザー THE MOVIE」が2015年に制作され、タイの国際映画祭に出品されて賞を受賞、好評を得てアメリカの映画祭にも出品された。国内でも、昨年2月に都内で限定公開されるや徐々に評判が広がり、3月9日からはニューバージョン作品「ライズ ダルライザー NEW EDITION」が劇場公開される運びとなっている。このように、ご当地ヒーローの”大化け”に期待する声は多いのだ。
実はご当地ヒーローの歴史は古い。
「1970年代に石ノ森章太郎氏の出身地である宮城県のスーパー・チェーンが企画した『レインボー・アタックエース』が、東北のローカル番組で放送されたのが元祖とされているが、以後、全国に伝播。今ではおよそ700のご当地ヒーローが存在するいわれています」(エンタメ誌編集者)
例えば、北海道の「サーモンライダー」などはイメージしやすい例で、変わり種としては島根県の「お仕事戦隊イソガシンジャー」などがある。先述の「ダルライザー」は、白河だるまに由来しており、各地域の特色が反映しているので“県民ショー”的に探すだけでも結構楽しい。確かに、ゆるキャラに代わるポテンシャルを感じさせる。
地方の各自治体は「オラが村の良さ」をアピールしようと日々必死だ。自治体が制作した観光PR動画が、その斬新さや独自の“ゆるいノリ”がウケて、ユーチューブでの視聴回数を伸ばし、全国的話題になることがある。一方で、ふるさと納税でクオカードやアマゾン・ギフト券が配られていることに総務省が激怒したとのニュースは記憶に新しい。
地方の生き残りをかけた仁義なきふるさとアピールが繰り広げられている。となれば、「過去何度かブームになりかけた時期があった」(同前)というご当地ヒーローが、今度こそ大々的に日の目を見るかもしれない。
(猫間滋)