サッカーJ1横浜F・マリノスは6月6日、J2いわきFCからFW谷村海那を獲得したと発表した。J2クラブからのFW補強は異例中の異例であり、その裏にはクラブの苦境と構造的な問題が見え隠れする。
「そもそも、エースのアンデルソン・ロペスを、不調とはいえこのタイミングで放出するのは非常に珍しい動き。マリノスは現在、J2降格の危機に瀕しており、一方の谷村の補強は、その打開策の一環です」(マリノス担当記者)
ロペスは2年連続でJリーグ得点王に輝いたが、今季は不振にあえぎ、フロントとの関係悪化も移籍の背景にあったという。
「ロペスは“移籍は本意ではない”と発言しており、スポーティングディレクターの西野努氏との確執が原因とも囁かれています」(同)
当初はブラジルの強豪ボタフォゴが移籍金3億円で獲得を打診していたが、マリノスはそのオファーを固辞。最終的にクラブ主導で移籍が決定した背景には、親会社・日産自動車の経営再建があると見られている。
「日産は2027年度までに世界7カ所の工場閉鎖と2万人規模の人員削減を進めており、高額年俸(2億円超)のロペスを手放すのは“不良債権”整理の一環とも言えます。J2出身の谷村であれば、年俸2000万円程度で契約可能ですからね」(Jリーグ関係者)
さらに、マリノスは5日に行われた横浜FCとの“横浜ダービー”で勝利したものの、一部サポーターによる違反行為が問題視されている。
混迷を極めるマリノスは、戦力・経営・ファン対応のいずれもが課題山積。クラブ再建に向けた道のりは、依然として厳しいままだ。
(小田龍司)