J1リーグ連覇を狙う横浜F・マリノスが2月11日の富士フイルムスーパーカップで、天皇杯王者の甲府を2-1で退け、開幕に向け順調なスタートを切った。
結果は2-1の僅差だが、J2の甲府相手に王者の貫禄を見せつけた。立ち上がりこそ甲府に押し込まれたが、10分以降は自分たちのペースで試合を支配し、リードしてからも手を抜くことはなく最後まで自分たちのサッカーを見せつけた。
今冬のストーブリーグで、昨季のJリーグMVPのDF岩田智輝がセルティックに移籍。さらに2019年のJリーグMVPで得点王の仲川輝人がFC東京へ、アンデルソン・ロペスと共にチームの昨季の得点王だったレオ・セアラがセレッソ大阪へとそれぞれ移籍した。そしてここにきて正GKだった高丘陽平がアメリカMLSのバンクーバーに移籍した。
しかし、ふたを開けてみれば主力が抜けた穴を感じさせない試合を見せた。岩田の抜けた穴は元日本代表の畠中槙之輔、柏から移籍してスーパーカップでは右サイドバックに入った上島拓巳で埋まりそうだ。仲川の後釜には昨季の夏に加入したヤン・マテウスがいる。GKも神戸から飯倉大樹が復帰。昨季、大ケガで離脱した宮市亮も順調に回復しており、予定よりも早く復帰できそうだ。
普通に考えれば、ほとんどのポジションに2人の選手を揃えている感じで、選手層は厚い。そんな中、大きな課題となるのはセンターFW。レオ・セアラが抜け、アンデルソン・ロペスに頼らないといけない。もし、彼がケガで長期離脱となった場合、その代わりがいないのが現実だ。
さらに、今季のACL(アジア・チャンピオンズリーグ)の本戦は9月に開幕する。グループリーグが9月に1試合、10月、11月にそれぞれ2試合が組まれている。またルヴァン杯も勝ち進めば、準々決勝が9月に2試合。準決勝が10月に2試合と過密日程が待っている。このスケジュールをアンデルソン・ロペスひとりで乗り切るのは難しい。夏に点取り屋のFWの補強は必要だ。
リーグ連覇の条件は、過密日程になる前に、どこまで勝ち点を積みかさねられるか。できるだけ勝ち点差を大きくして逃げ切りたい。
マスカット監督にとっては3年目のシーズンでチームの完成度は高い。長いシーズン、どう戦うのか、今季の中心は横浜FMだろう。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。