Jリーグの25年シーズンが2月14日に開幕。横浜F・マリノスの初戦は15日で、アルビレックス新潟をホームの日産スタジアムに迎えて、などと聞くと「果たしていつまで…」と思う人も多いのではないか。2月6日に日産自動車がホンダに協議打ち切りを伝えて、両者の統合話が破談したからだ。
「昨年11月に、日産の昨年4~9月までの中間決算で営業利益・最終利益ともに90%以上減というショッキングな発表があってから、12月23日に両者の経営統合という電撃的な展開に発展。誰がどう見てもホンダによる日産救済と考えるのは当然でしたが、ホンダによる日産の子会社化という意向を、日産のプライドが受け入れられない形となりました。では、日産はどうなるのか。考えられるのは独自再建か海外企業の傘下入りか買収されるかでしょうが、どのみちマリノスへの影響が皆無とは考えづらい」(経済ジャーナリスト)
というのも、マリノスを「横浜マリノス株式会社」という企業体で見た場合、日産が約75%を保有し、社長は中山昭宏氏で日産出身の人だからだ。つまりは日産の子会社。中山氏の経歴を見ると、ルノーに出向して籍を置き、コストカッターで知られたカルロス・ゴーン体制の下で生き残った半生が垣間見え、感慨も深まる。さて今回はどうなるか。
仮に日産がマリノスの経営から退くとなった場合、その先はどうなるのか。日産に次ぐ大株主はというと、あのイングランド・プレミアリーグの最強豪の1つ、マンチェスター・シティの「シティ・フットボール・グループ」が約20%の株式を保有していると聞けば何だか心強い。14年に両者はパートナーシップを結んでいたのだ。ただしシティの資本を見ると、その75%を超える株式をUAEの王族の企業が保有していて、話は複雑になる。
だがそれは今に始まった話ではなく、そもそも“手負いの虎”となった日産本体の資本が既にして複雑なのだ。
「日産の経営危機が明らかになると同時に、香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントや旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントと関係の深いファンドが日産の大株主になっていることが判明しました。もちろん両者は、会社側に強烈な意見を具申するアクティビストとして有名。となればマリノスはリストラの対象として攻撃されかねない。また海外企業と組む場合、台湾の電子機器大手の鴻海が筆頭候補ですが、どのみち整理の対象となりかねませんし、日産という名前が単独で残るかどうかも分かりません」(同)
マリノスと言えば、チーム名に「F」が入っているように、99年に親会社から手放されて行き場を失っていた横浜フリューゲルスを吸収・合併したことで知られる。だが今度は、マリノスまでが漂流する状態になるやもしれない。
(猫間滋)