コメ価格の高騰を機に、にわかに広まった「JA中抜き説」。オンライン上では一部の農家が、JAへの不信感を募らせており、ネット販売や直販を模索する動きが活発化している。
そんな中、ある農家がJAに支払う手数料の詳細を公開し、「農業協同組合は闇の組織でも何でもありません。組合員の農家が集まり、助け合う組織です」と説明。「中抜きだとかいうのは、お門違いも甚だしいです」と、ネットに流布する「JA中抜き説」を完全否定した。
その農家は自身がJAに出荷した際の伝票を元に、JAの手数料は19%と試算。一方、直販する場合は生産物の袋詰めや出荷にかかる人件費、ガソリン代、梱包資材代が別途かかるとし、「19%の手数料で全部やってもらった方が良いと思いませんか?」と訴えた。
たしかにこの農家のいう通り、生産物をすべて自分で売ろうと思えば、余計な手間や費用がかかる。JAは手数料を払う代わりに、その後の手間をすべて引き受けてくれるのだから、「中抜き」と批判するのは少々乱暴にも聞こえる。
2019年に放送された女優・広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説「なつぞら」は、北海道十勝地方を舞台に、昭和30年代後半に牛乳需要が減少し、生乳の買いたたきが横行する中、酪農家が農協と連携して共同販売で対抗しようとする姿が描かれた。酪農家がそれぞれ個々に販売を続けていたら、一体どうなっていたのか気になるところだ。
これまで消費者の多くがJAのシステムに関心を持つことなく、生産品を口にしていた。コメ高騰を機にJAのあり方が問われているが、その善し悪しはともかく、消費者が関心を持ついい機会になったようだ。
(ケン高田)