ラーメン店でカップルが「出禁」1杯をシェアする客はなぜ後を絶たないのか

 埼玉県川口市にある人気ラーメン店「麺屋 桐龍 東川口本店」で客が1杯のラーメンを2人でシェアしようとしたことでトラブルとなり、店側がXの公式アカウントで「もう来なくて大丈夫です」と呼びかけ物議を醸している。

「麺屋 桐龍の投稿によると、12月18日に店にやって来た30代前後のカップルが『大人は一人一杯です』という当たり前のお願いをしても聞いてもらえず、店内で興奮、高圧的な態度を取ったとことなどから、出禁を宣言したといいます。同店はいわゆる二郎系と言われる大盛りラーメンを提供しており、野菜を増して注文すれば2人で食べても十分満足できるかもしれませんが、店側としては利益が半減する上に席も多く取られる。到底許せる行動ではなかったでしょう」(フードライター)

 ラーメン1杯をシェアして食べる。こうした客の迷惑行動は珍しいものではない。2022年にも茨城県水戸市のラーメン店で、女性客2人が当時1杯400円のラーメンを1人分だけ注申してシェア。店側が「今後、食べない方の入店はお断りします」「食べない方は外のベンチでお待ち頂きます」とSNSに投稿したことが大きな話題となった。

「ラーメン店ではシェア食べ以外にも『背脂多めで頼んだら説明もないのに100円取られた』とラーメンインフルエンサーが投稿したり、ラーメン丼にティッシュを捨てる客が問題になったりと、様々なトラブルがSNS上で報告されています。こうした客の横暴ともいえる行動が相次いでいる根底には、ラーメンは庶民の食べ物、庶民の味方といった意識が根強くあり、過剰なサービスを求めても許されると思っている客がいるからとも考えられます。現在、ラーメン店は材料費の高騰でどこも経営が苦しい状況にありますが、未だに1000円の壁を超えられないところが多いのも、こうした客による“庶民縛り”が原因でしょう」(同)

 今や世界中で大ブームを巻き起こしているJapanese Ramenだが、日本国内の今年1月から9月までのラーメン店の倒産は過去最多ペースとなっている。いくら庶民の味方だからといって、わがままや過剰なサービスを求め続ければ、日本のラーメン業界は衰退の一途をたどることにもなりかねない。

(小林洋三)

ライフ