日本相撲協会が3月25日、評議員会で選ばれた新しい理事で理事会を開き、八角理事長(元横綱北勝海)の再選を決めた。任期は2年。今回も全会一致で決まった。2015年に急逝した北の湖理事長のバトンを受ける形で、これで実質5期目に入る八角理事長は「大相撲の伝統文化の継承、土俵の充実を使命として一生懸命に取り組んで参ります」とのコメントを発表した。
今期の八角政権は“実績”を上げた。2023年度決算(1月~12月)は4年ぶりの黒字。前年度はコロナ禍の影響で30億円を超えるマイナスだったが、今年度は4億8000万円のプラスとなった。しかし、それまでは17年11月の横綱・日馬富士の暴行事件を発端とした貴乃花親方との確執に始まり、昨年9月には協会職員への時間外労働の賃金未払いが発覚。労働基準監督署から是正勧告を受けた。
そして今年に入ってからは元横綱白鵬が師匠を務める宮城野部屋で暴力問題が判明し、部屋が取り潰しの危機に。とにかく前代未聞の事態が続いている。
八角政権より長く理事長に在籍したのが、1974年から88年まで、7期14年務めた春日野理事長(元横綱栃錦)。任期中の最大の功績は85年の両国国技館の建設だった。
「当時の国鉄に、蔵前国技館を140億円で売り、両国国技館の土地を50億円で購入して新しい国技館を建設した。銀行から1円も借りずに建てています。あの建物は相撲協会の自社ビルみたいなもので、その不動産と信用があるおかげで協会は何度も経営難から救われているんです」(古参の相撲担当記者)
対し“トラブルの総合デパート”とも揶揄される八角政権。協会関係者からは「理事長の定年(65歳)まで、あと5年続けるのか」という溜め息ばかりが聞こえてくる。
(小田龍司)