経済産業大臣、経済再生担当大臣を歴任した自民党の甘利明前幹事長が8月6日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)に出演。東京電力・福島第一原発の処理水の海洋放出について持論を展開した。
番組では海洋放出する水に含まれるトリチウムの濃度を解説。WHOの飲料水基準は1リットルあたり1万ベクレルで、福島第一原発のALPS処理水は1500ベクレル未満と、およそ7分の1におさえていると説明した。
甘利氏は「飲料基準は7分の1」「排出基準は40分の1」まで希釈して排出すると説明し、「排出総量は中国の5分の1から7分の1なんです」とコメント。中国が反発していることについて、「政府の言葉を代弁するなら『あなたにだけは言われたくない』ということだと思うんですね」と科学的データの重要性を説いた。
気がかりなのは風評被害だ。番組では内閣官房参与・宮家邦彦氏の「風評被害を抑えるために政治家がみずから処理水を飲んで安全性を証明すればいい」という提言を取り上げ、コメントを求められた甘利氏は、笑顔を浮かべてこう答えた。
「処理水を希釈するんですね。問題ないように薄めるんです。世界で一番問題なく薄めていくわけですね。薄めるときに海水を使って薄めますから、これはちょっと飲めないですよね」として、トリチウム以外の核物質は基準以下に取り除くと説明。「ですから、真水で薄めてですよ、それから細菌とかの除去はしてませんから。それを除去して、そういうものをクリーンにしたら飲めますから」と、条件つきで「処理水は飲める」との見解を示した。
「処理水放出は早ければ8月下旬にも始まると見られていますが、主に漁業関係への風評被害の払拭のために、政治家が処理水を飲んでみては…という意見は各界からあがっています。2011年、原発で事故が起きた直後、東京の水道局で基準値を超える放射性物質が検出された際には、当時の石原慎太郎都知事が水道水を飲んで安全性をアピールしたものです。甘利氏は条件つきながら、『飲めます』と言ったことで、ネット上でも《甘利さん期待しています》《今すぐ福島に行って》といった声が見られました」(政治ジャーナリスト)
風評被害の払拭に向けて、政治家の実行力が試されそうだ。