他人口座の紐づけに他人の情報を誤登録…相次ぐトラブルを受けて、自主返納の動きが高まっているマイナンバーカード。7月5日の衆議院特別委員会の審議で、河野太郎デジタル担当大臣は3年後の導入を目指す「新マイナンバーカード」について言及。立憲民主党の長妻昭政調会長から、現行のカードリーダーが使えなくなる可能性を指摘されると、河野大臣は「新しい読み取り機が必要になる可能性は当然ございます」と答え、医療機関へのさらなる負担に心配の声があがっている。
7月6日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」でもこの発言を取り上げ、医療現場の現状を報告。「いとう王子神谷内科外科クリニック」では、マイナ保険証を読み込んだ際に「該当なし」「保険資格該当なし」というエラーが多い日で1日3、4人出ているという。
番組ではスタジオにマイナンバーの制度設計に携わった水町雅子弁護士を招いて、マイナ保険証の問題点を挙げて、現行保険証の廃止、“暗証番号なし”のマイナカードの有効性、マイナ総点検による職員の負担増などのテーマで議論を行った。そしてコーナー終盤、視聴者からの質問や意見を紹介する場面で、「関東の地方都市で一診療所を開設している」という人物からのメッセージが紹介された。
「先月下旬、マイナカード読み取り機設置にかかった費用50万弱が引き落とされました。口座の残高に唖然としました。多くの医院は金銭的に豊かなのかもしれませんが小さな一診療所には負担が大きすぎます。なのにまたカードが変わると設置にお金がかかるんですか? 勘弁してもらいたいです」
この後にもいくつか質問が読み上げられ、そのたびに水町弁護士が回答していたのだが、この「50万弱の負担」を訴える医療従事者の質問にはノーリアクションで番組は進行。そのためネット上では《医療機関の苦情はスルーかよ》《お医者さんの質問は読み上げただけ…ひどいわ》《重要な情報をスルーしたのは問題》といった批判の声が殺到していた。
「医療機関が『オンライン確認資格』を取得するにはカードリーダーの購入が必須で、購入後、領収書などを添付して申請すれば補助金の給付が受けられます。ただし、特例を覗いて、医療機関は昨年末までにカードリーダーを申し込んで、今年2月末までにシステム事業者と契約を結ぶ必要がありました。番組で50万円もの高額負担を訴えた診療所の方は申請期限を過ぎていたかもしれませんが、期限内であっても費用は立て替えなければいけません。高齢の医師が一人で対応するような小さな診療所はどんどん廃業を余儀なくされてしまうかも…」(医療ジャーナリスト)
3年後の新マイナカードでさらに50万円もの負担を強いられては、それこそ「勘弁してもらいたい」のが正直な気持ちだろう。