経団連は6月29日、「夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況」の初回集計分を発表し、大手企業の夏のボーナスの平均額が95万6027円とした。比較可能な1981年以来、3番目に高い水準だという。
「従業員500人以上の大企業を対象に集計可能な16業種121社に調査したところ、資源高などの影響を受けてセメント、繊維、化学などの8業種は減少したものの、コロナ禍からの経済活動の回復により業績が良かった自動車、造船、食品など8業種で増加したといいます。記録的な物価高を受けて夏のボーナスの平均額は2年連続で前年を上回っていて、今年は前年同期比3.91%増となり、経団連は『賃上げのモメンタム(勢い)が維持されている』としています」(フリーライター)
しかし、その一方でこんなデータもある。会計税務ソフトウェアの提供などを行う「フリーウェイジャパン」が中小・零細企業に実施した「2023年度 夏のボーナス実態調査」によると、約7割の企業で「夏のボーナスの支給がない」ことがわかった。
ボーナスの支給があった、あるいは今後支給される予定の企業でもその平均額は44.1万円で、大手企業の半分にも満たなかった。
「ちなみに、国家公務員に支給された夏のボーナスは平均でおよそ64万円でした。中小・零細企業に勤める人からしたら、別の国の話のように感じてしまうかもしれません。最近では相次ぐ値上げによって、東京ディズニーリゾートやマクドナルドも『高額で利用できない』という人が増えたと話題になっています。給料が上がらず、ボーナスももらえないサラリーマンは決して少なくないのです」(経済ジャーナリスト)
脱コロナ禍による個人消費の拡大などで1〜3月期の実質GDP成長率は前期比+0.4%になるなど、景気の回復も語られるようになったが、その裏で進む賃金格差はなお深刻なのである。
(小林洋三)