日本初のバーガーチェーンはマックではなかった!牛丼、ファミレス、居酒屋チェーンの始祖は

 日本には数多くの飲食チェーンが存在しているが、それぞれの業種の「日本初」をご存じだろうか。実は、日本で初めてハンバーガーチェーンを展開したのは「マクドナルド」ではない。そのほか牛丼、ファミレス、居酒屋のチェーン誕生には様々なドラマがあった。

 日本初の牛丼チェーンは、1899年創業のご存じ「吉野家」だ。創業者の松田栄吉が当時流行していた「牛鍋」に目をつけ、日本最大の魚河岸があった日本橋で忙しい労働者のために牛鍋の具材をご飯にかけて提供したところ、大人気となった。その後、関東大震災で店舗が焼失したことで移転したが、築地に中央卸売市場が開設されると魚河岸の人々からの強い要望を受けて築地市場内に再移転。これがいわゆる吉野家の1号店となり、2018年に市場が移転するまで営業が続けられた。

 日本に初めて登場したハンバーガーチェーンは、マクドナルドが上陸する約1年半前にオープンした「ドムドムハンバーガー」だ。もともとダイエーとマクドナルドがハンバーガーの合弁会社を設立して日本初となるハンバーガーチェーンを展開する予定だったが、交渉が決裂したことでダイエーが単独でドムドムハンバーガーを出店し、1997年には全国に335店舗を展開した。現在は27店舗を残すのみとなっているが、マニア的な人気を誇っている。

 スーパーの経営に行き詰まっていた横川4兄弟の長兄・横川端氏が、1970年にアメリカの飲食店を参考にオープンさせたのが日本初のファミレスチェーン「すかいらーく」(当時はスカイラーク)だ。なお、スカイラークは「ひばり」を意味し、ひばりヶ丘にあったことに由来している。スカイラークは瞬く間に店舗を拡大していったが、バブル崩壊の影響で低価格業態の「ガスト」に次々と転換。その後、2009年にブランドは消滅したが、運営会社としてのすかいらーくホールディングスとして今も名前は生き続けている。

 居酒屋チェーンの始祖とされる「鮒忠」はもともと川魚の専門店だった。しかし、冬場になると川魚が捕れなくなるため代わりに鶏を串焼きにした「焼き鳥」を提供したところ、大ヒット商品となった。現在も多くの居酒屋で焼き鳥が提供されているのは、鮒忠の影響によるところが大きい。鮒忠は1978年に100店舗を達成し、後発の「養老乃瀧」や「つぼ八」「村さ来」と80年代に到来する居酒屋ブームを牽引したのだ。

(小林洋三)

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