動画テロの被害は回転寿司店だけではない。牛丼チェーンの吉野家、北九州市を中心に展開するうどんチェーンの資さんうどん、カレーチェーンのCoCo壱番屋も標的となった。
吉野家では卓上に置かれた共用の紅ショウガが狙われた。2月、大阪市内の店舗で、男性客が容器に入った紅ショウガを自身の箸で口にかき込んだ動画が出回っていることが発覚。これに関与した飲食店経営の男と建築業の男は、威力業務妨害と器物損壊の疑いで逮捕された。飲食店経営の男が建築業の男に「おもしろいことをやってや」と頼んだところ、紅ショウガを食べたという。建築業の男は「みんなを笑かしたいと思った」などと供述している。
資さんうどんの魅力の1つは、客席に置かれた無料サービスの天かす。その天かすを、若い男性客が共用のスプーンで口に入れる動画がSNS上で広まった。男性客は天かすを食べた後、親指を立てて「グッド」を意味する「サムズアップ」のポーズまでして見せた。運営会社は2月1日に警察に被害届を出し、受理されている。
飲食店での動画テロが横行した影響か、CoCo壱番屋では3年ほど前に発覚した迷惑行為が蒸し返された。当時、店内で若い男性客がテーブルに備え付けの福神漬けを直接スプーンで食べていた動画が発覚。最終的に動画の男性から謝罪を受けて解決しているが、今年2月、この動画が再び拡散してしまった。過去の動画であることを知らないユーザーから運営会社に問い合わせもあったという。
「動画テロというと、若い世代によるものが目立ちますが、吉野家の件では2人とも30代。いい大人が愚行に走ったことで、世間を呆れさせました。資さんうどんの迷惑動画で驚いたのは、隣のテーブル客も映っていたことです。近くに人がいてもかまわず迷惑行為に及ぶ神経は理解できません。また、CoCo壱番屋のように過去動画が再燃することもあります。一度拡散したら、鎮静化しても将来再び出回ってしまうリスクもあるのです」(週刊誌記者)
回転寿司や吉野家の「事件」でも、警察に被害届を出し、防犯カメラを提出するなど、店側の毅然とした対応によって投稿者の逮捕に至っている。これらのケースが一罰百戒となって、不愉快極まりない動画テロがなくなることを祈りたい。
(石田英明)