昨季は両リーグともに連覇となったが、今季は地殻変動が起こるのか? 球界の賢人4人に無理を承知で、キャンプ前から日本一早いペナント予想を依頼した。98年、横浜優勝時のエース・野村弘樹氏の答えとは――。
今季はDeNAが優勝候補の本命です。
古巣だからといって推すわけではありません。実際に、私がユニフォームを脱ぎ解説者になって12〜13年になりますが、今まで1位予想したことは一度もありません。だから自分にとっても、満を持しての優勝予想ですね(笑)。それくらい、今季のDeNAにはポジティブな要素が多い。
なにより山﨑康晃(30)が、完全復活した上に残留したのは最大の朗報です。昨季に難病の「黄色靱帯骨化症」手術で離脱した三嶋一輝(32)も、リハビリを経てキャンプに間に合った。開幕からバリバリというわけにはいかなくても、長いシーズン、中継ぎエースが戻ってくるのはかなり大きいです。
ローテーションは盤石。今永昇太(29)、大貫晋一(28)の左右エースに加えて、昨季に先発再転向で結果を出した石田健大(29)、8勝の濵口遥大(27)、昨季の開幕投手・東克樹(27)も20年のトミー・ジョン手術の影響から、ようやく調子を戻しつつあります。
昨季打率リーグ2位の打線には、オースティンが戻ってきます。右ヒジ手術の影響で前年は代打出場のみでしたが、常時出場できるとなれば戦力アップは間違いありません。
対抗はやはりヤクルト。ですが、マクガフの抜けた穴は大きい。新守護神は清水だと思いますが、その分、セットアッパーが手薄になるわけです。それに、まったく打てなくなるとは思いませんが、村上へのマークも間違いなく昨季よりきつくなるでしょう。これだけ条件が揃うと「DeNAは今年優勝できなければもう無理じゃないか」とまで思うほどです(苦笑)。
他の球団も、どこかしらに不安要素はあると考えます。一番怖いのは阪神。過去に強いチームを作ってきた岡田監督の復帰ですから、普通に考えたら強いはずです。ただし前任の矢野燿大監督(54)が、選手と一体になってチームを率いるタイプだっただけに、昔ながらの厳しい監督然とした指導が今の選手に合わない、という可能性もあります。
巨人は巨人で、ピッチャーが揃っていない。先発はコマ不足で、抑えの大勢(23)はよくても、その前を任せるセットアッパーも不足しています。今年は苦しむんじゃないでしょうか。
広島は先発、中継ぎ、抑えと投手陣容は悪くない。ただし攻撃面を見ると、若いチームだけに打てない時はまったく打てない、というゲームが多かった。上位に食い込むにはもう少し時間がかかりそうです。
中日は立浪監督がPL学園の同期で、応援したい気持ちはあります。昨季はDeNAに6勝12敗と大きく負け越しましたが、阪神、巨人とはトントン、ヤクルト、広島には勝ち越しています。最下位でしたが、苦手チーム対策次第で今年はAクラス入りがあっても不思議ではないと思います。