山口県阿武町の4630万円誤給付問題は、2022年を象徴する不可解事件となった。ワイドショーも連日この話題を取り上げたが、特に熱心だったのは「ミヤネ屋」。ときにMCの宮根誠司が声を荒らげることもあった。5月17日配信のAsageiBizの記事を改めて紹介しよう。
山口県阿武町が20代の住民男性に特別給付金4630万円を誤送金した問題で、男性の弁護士が記者会見を開いたのは5月16日のこと。振り込まれた金について、男性が「スマホを使って全額使い切った」と説明していたことが明らかになり、情報番組はこぞってこの話題を取り上げた。
中でも力を入れて取り上げたのが16日放送の「ミヤネ屋」(読売テレビ)。振り込まれた男性は現在、行方をくらましているが、番組にリモート出演した政治評論家の杉村太蔵氏は「気が動転してこういう行動になったのかもしれないんですけども、まあ、とにかく早く返した方が…これから4630万円で一生食っていけるわけじゃないんでね」とコメント。司会の宮根誠司も「彼の人生も変えてしまったというところがあって」と同意するように語っていたのだが…。
この後、青山学院大学陸上部の原晋監督は、阿武町の苦しい財政状況に触れながらも、行方をくらました男性について言及した。
「24歳の彼なんですけど、これ悪者にしたらですね、もう出てこれなくなる気がするので…。当然(お金は)返さなければいけないんですけどあんまり攻めたてるということをしたらですね、出づらくなるんじゃないかと思うんですけどね」と、誤送金された男性を悪者扱いすることについて疑問を呈した。
すると杉村氏が割り込むように「僕もね、原監督とすごく考え方が似てて。今、この現時点でね」と前置きして、「彼はその…なんて言うのかな。返さなきゃいけない立場なんですけども、刑事責任、刑事被告人というわけでも、今のところはないわけですよね。だからちょっと放送の中で神経使わないといけないんじゃないかなっていうふうに僕なんか思って…」と語ると、司会の宮根は、この日出演していた亀井正貴弁護士を手で指しながら、「いや、だから亀井先生呼んでんの」とシャットアウト。CMに入る音楽が流れる中、杉村氏は動揺したように「そうね…これからの話ですね」と返すと、宮根はイライラを爆発させたように「あなたに聞くことじゃない!」と言い放ち、苦笑いを浮かべる杉村氏の画面からCMへと切り替わった。
これにはSNS上でも《番組の進行上、仕方ないかもしれないけどその言い方…》《宮根さん、今日はご機嫌ななめですか?》《太蔵さんへの当たりがキツくないか。不愉快だわ》といったコメントがアップされた。
この日はニュースをはさんで1時間以上にわたって「誤送金問題」を取り上げた「ミヤネ屋」。弁護士先生の話す余地を残しておくための仕切りだったとはいえ、番組に招いたゲストへの言葉としては、キツめの印象を与えてしまったようだ。