お笑いコンビ・キングコングの「カジサック」こと梶原雄太は国内有数のトップユーチューバーだ。メインの「カジサック KAJISAC」は、チャンネル登録者数238万人。「カジサックの小部屋」は56.6万人、「カジサックのゲーム部屋」は11.6万人。「梶原雄太の部屋」は19.4万人で、「カジサックが切り抜く部屋」は7.62万人。活動拠点をテレビから動画配信に移行して、5人の子どもと妻を養うには十分すぎるほど稼いでいる。
ユーチューブは少数精鋭で制作されることが多いが、「チームカジサック」は吉本興業の元芸人や社員、メディア関係者ほか、多くのスタッフがいる。原則週4ペースで配信している。
スタッフの中には現役吉本芸人もいる。お笑いコンビ「2700」のツネだ。八十島とのコンビで、「右ひじ左ひじ 交互に見て」でブレイクしたのは11年も前。ショートネタブームに便乗して、一発屋芸人となったが、栄華は長く続かず。そこへきて、19年に反社会的勢力主催の会合にコンビで参加していたことが発覚。家族のために正社員として働いていた不動産会社にいられなくなり、自主退社した。
続いてはじめた副業は、キッチンカー。友人が経営している飲食店の前の空きスペースを利用して開業して、のちに独立。230万円で軽トラックを購入して、フライドチキンの豚肉版「クリスピーポーク」を販売するキッチンカーをはじめた。
しかしある日、売り上げ全額が入ったかばんを置き忘れてしまう。それが吉本の大先輩の梶原の耳に入ると、「ホットヒーヒーソース」1ケース24本入りを10ケースも買ってくれた。28万8千円の補てんとなった。
その後、新型コロナウイルスの流行により緊急事態宣言が発令され、売り上げが激減。「家族がいるからとりあえずの金がいるんちゃうか。もしよかったらやけど、うちのチームに入らへんか?」と誘ってくれた。これがきっかけで、カジサックの構成員に加わった。
「カジサックはトップユーチューバーなので、スタッフはかなり激務らしい。ツネは撮影準備やテロップ入れ、編集作業の全般をできるようになりましたが、3日間缶詰めなんてザラにある。仕事はハードで、芸人業もキッチンカーも続行していますが、収入は7割がユーチューブ。芸人としての稼ぎは、全体の1割程度らしいです」(芸能ライター)
カジサックに足を向けて寝られないツネ。努力の末に映像編集を会得できたため、最近は子どもたちに向けた「ユーチューブ講座」も新たな食い扶持になっているという。
ヒジを見せ続けた一発屋芸人は、ネットによって第2の人生を拓いた勝ち組になっていた。
(北村ともこ)