旧統一教会が「膳場貴子」名指し抗議も…TBS局内に蘇る「あの問題」のトラウマ

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が5日、公式サイトに「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会がTBS『NEWS DIG』に抗議文を提出」との文書を掲載した。

 抗議文は、同会の後藤徹代表によるもので、抗議内容は、TBSが先月27日に放送した「報道特集」内の「〝元信者〟妻たちが語る旧統一教会の実態」と題する特集のなかで、出演した5人の元信者のうちの1人から「拉致監禁、脱会強要という異常な人権侵害」を受け、裁判の末に勝訴したにもかかわらず、家庭連合に対する一方的な批判をさせ、その発言を公共の電波で流した、というものだ。

 サイト上で同会は《このような異常な人権侵害、違法行為については一切無視する一方、その実行行為者を動員して家庭連合叩きに奔走する貴社の報道は、公正中立な報道と言えるのでしょうか?》として同局の報道姿勢に疑問を呈し、さらに書面で回答を求めた項目の一つには、

《家庭連合の国際合同結婚式を人権侵害などと非難しつつ(フリーアナウンサー膳場貴子氏の発言)、私を初めとする家庭連合の信者らが受けてきた拉致監禁、脱会強要という、最高裁で違法性が確定した人権侵害について一切報道しないのは何故か?》

 と、膳場アナに対しても言及している箇所があることから、TBS局内では「『ミヤネ屋』の日テレは言うことを聞かないから、今度はうちがターゲットにされたみたいだ」との波紋が広がっているという。

 TBSで情報番組を担当するベテラン・ディレクターが語る。

「うちの局でも『報道特集』だけでなく、『NEWS23』、『ひるおび』、BSの『報道1930』、さらには系列局CBCテレビ制作の『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』などで、連日旧統一教会問題を取り上げていますので、当然、抗議を受けることも認識にあったはず。ただ、うちはオウム真理教事件の際に、当時TBSの顔だった筑紫哲也さんをして『TBSは今日、死んだに等しいと思う』と言わしめた苦い過去があり、それがベテラン局員の気持ちの中にトラウマとして残っていますからね。日テレさん以上に、抗議などには一切屈しないと思いますね」

 同氏が語る「オウム真理教事件の際のトラウマ」とは89年10月、同局のワイドショー番組「3時にあいましょう」のスタッフがオウム真理教を取材する際、相手からの強い要求に応じてオウム真理教を批判する弁護士・坂本堤氏のインタビュービデオを放送前にもかかわらず、同局内で教団幹部に見せたこと。その9日後の11月4日に、坂本弁護士一家殺害事件が起きている。

 この事実が発覚したことにより、筑紫氏は自身が担当する「ニュース23」の中で、「報道機関の存立できる最大のベースは信頼関係」とした上で、「TBSは今日、死んだに等しい」と発言。当時の磯崎洋三社長は引責辞任し、ワイドショー番組は打ち切られることになった。

 TBSの報道内にはその反省と教訓が今も生きているという。後藤代表はTBSに対し、8日までに質問事項の返答を求めているが、はたして‥‥。

(灯倫太郎)

ライフ