「M-1グランプリ」の歴代王者で、とろサーモン・久保田かずのぶほどアップダウンが激しい芸人人生を歩んでいる者はいないだろう。
まだ関西を活動拠点にしていたころは、毎日放送主催の「オールザッツ漫才」で優勝と準優勝、「ABCお笑い新人グランプリ」で最優秀新人賞、「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞を獲得するなど、数々の栄誉を手に入れた。
ところが東京進出後は、一転して借金地獄に陥った。妻はガールズバーで働きはじめ、本人もバイトをかけ持ちした。やがて、妻と離婚。在阪コンテストで獲ったトロフィーを売って生活の足しにするつもりが3000円にしかならなかったという。
17年にM-1王者となって、ようやく泥水をすする生活から脱却できた。ところが、翌18年のM-1直後、泥酔状態で配信したインスタライブで、審査員の上沼恵美子に暴言を吐いたことで大騒動が勃発。「関西の女帝」の逆鱗に触れた代償は大きく、表舞台から消えた。
こうして漫才の頂点に立ってもおさわがせを続けた久保田だが、今年は大金星を手に入れている。5月に初めての絵画展「久保田和靖個展『なぐりがき』」を東京・渋谷で開催し、54点を展覧したのだが、その中の「解放の終戦」が1枚100万円で売れたのだ。
「吉本芸人の絵画アーティストといえば、先駆者のジミー大西、世界進出もしている野性爆弾・くっきー!、くしくも同期のキングコング・西野亮廣で、3者ともかなりの高額で買い手がついています。久保田はM-1王者という箔がついている上に、地上波でも活動している。伸びしろは彼らより上かもしれません」(週刊誌記者)
開催期間中に51点が売れ、数百万を手に入れたという。
「19年には、ダウンタウン・松本人志発案による笑わせあいバトル『ドキュメンタル』(Amazonプライム)シーズン8で優勝するも、配信元の上層部から『下品にもほどがある』と判断されてお蔵入り。シーズン9で再度優勝すると、キャリーオーバーとなっていた優勝賞金2000万円を手中に。その全額を投入して、チバテレの枠を買い取り、コンビそろった初の冠番組『とろサーモン久保田、テレビ局の枠を買う。』をスタートさせました。しかし、ほどなく資金は底をつき、わずか4回で打ち切りになっています」(前出・週刊誌記者)
浮沈の激しさが「芸の肥やし」になっているのなら本望だろうが…。
(北村ともこ)