ヤクルト“心中覚悟”の「失策王」が同級生・清宮を本気にさせた!

「マイナビオールスターゲーム2019」のファン投票、セ・リーグ三塁手部門で高卒2年目の東京ヤクルト・村上宗隆が1位争いを繰り広げている。第9回中間発表で阪神の大山悠輔に抜かれるまでは大差をつけての1位だった。「トラの4番」と競り合う若武者の活躍が、日本ハム・清宮幸太郎を本気にさせている。

「日本ハムはヤクルト戦が交流戦最初のカードとなり、ここで清宮と村上が再会を果たしました。2人とも高校時代に練習試合で対戦し、面識があるそうです」(スポーツ紙記者)

 ともに相手のことは「意識していない」と語ったそうだが、実際は違う。高校時代、両者のアダ名は同じ「スーパー1年生」。清宮は1年夏の甲子園大会で2本塁打を放ち、全国的スターとなった。村上も1年夏の甲子園を経験しており、12球団スカウトや高校野球ファンの間では高く評価されていた。

「2017年ドラフト会議で、清宮の1位指名を外したヤクルト、巨人、楽天が村上に再入札し、競合の末ヤクルトが交渉権を獲得しています」(同前)

 そんな外れ1位の同級生・村上が先にレギュラーポジションを獲ったのだから、清宮の闘争心に火が点かないはずがない。4日の初戦では村上が清宮の前で本塁打を放ち、6日は清宮がファウルフライをスライディングキャッチするファインプレーを見せている。

 2人には共通点も多い。右投左打、将来の長距離砲、そして守備難というところ。前述の清宮の好プレーには、これ以上後れをとってはならないとの思いが籠っていたのだろう。

「村上は12球団ダントツの『失策11』を記録しています(7日時点)。ヤクルト首脳陣はミスに目をつぶって使い続けるとの覚悟を持って、村上をレギュラーに抜てきしました。そう思わせる打撃力があったからで、村上が清宮よりも先にそのレベルまで成長したとも言えます」(同前)

 それでも、村上の本塁打15、打点45(同時点)は立派だ。ファンもそれを認めており、このままいけば、清宮はオールスターゲーム初出場の称号まで村上に先を越されてしまう。

 右手手首の故障から間もない清宮の今回の一軍昇格に異を唱える関係者も多かったという。ヤクルトは、日本ハム・栗山英樹監督の古巣だ。村上のブレイクを知り、清宮を覚醒させる好機だと見て昇格を決断したのかもしれない。

 清宮も「多少のエラーには目をつぶってでも」と首脳陣に思わせる打撃面での成長が見られればいいのだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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