ピザ協議会が先ごろ、20年度のピザマーケットの調査結果を発表し、ピザ推定末端売上高が前年比1.5%減の2829億円と、3年ぶりのマイナスとなっていたことが明らかとなった。コロナ禍の宅配ピザは絶好調だったイメージが強いが、マイナス成長となった原因はどこにあるのだろうか?
「同調査によると、メーカーによるピザ出荷額は前年比2.6%と増加している一方で、価格の大きい業務用製品の出荷額が大幅に減少したことで、売上高自体は前年比4.4%減と減少しているのです。つまり、コロナ禍にピザのデリバリーやテイクアウトは堅調だったものの、ピザ専門店や居酒屋、ファミレスなどのピザの売上が大幅に落ち込んだものと見られています」(フードジャーナリスト)
マーケティングリサーチのエヌピーディー・ジャパンが提供する「CREST」でも、ピザの喫食数は10%減少したというデータがあり、店内飲食が57%減、テイクアウト・デリバリーが63%増となっている。
しかし、コロナ禍の宅配ピザの売上はもっと圧倒的にも感じたが…。
「今年6月に『ORICON NEWS』がフードデリバリーで最も頼むメニューの調査結果を発表したところ、ピザがダントツの1位に輝いているように、コロナ禍に宅配ピザがよく注文されたのは間違いないでしょう。ただ、20年に入ってからは様々なデリバリー商品やテイクアウト商品が登場するようになりました。そうした中で、多くのピザチェーンは昼食需要を取り込もうと『1枚からピザ持ち帰り半額』や『2枚頼めば1枚無料』などのキャンペーンを連発していたのです。そのため、販売数は圧倒的に増えたものの売上は期待していたほど伸びなかったというのが実情なのではないでしょうか」(経営コンサルタント)
宅配ピザ各社が割引キャンペーンを実施してしのぎを削っているため、今後もしばらくはそれほど売上は伸びないのかもしれない。
(小林洋三)