年末年始の芸能界において「NHK紅白歌合戦」や「輝く!日本レコード大賞」とともに毎年話題を集めるのが、スポーツ紙による“元旦スクープ”だ。スポーツ紙の芸能担当記者はこう語る。
「スポーツ紙は当然のことながらその性質上、主にプロ野球をはじめとするプロスポーツの情報を記事として扱っています。ただ、大半のプロスポーツがオフシーズンとなり、さらに“駅売り”のない元旦については普段以上に芸能記事が大きく扱われることが多いんです。そうした中、近年は各紙が競って独自性の強い芸能スクープ記事を一面や終面でド派手に掲載する機会が増えて“元旦スクープ”と呼ばれるようになりました」
毎年年末が近づくと各紙の記者が “元旦スクープ”の準備に頭を悩ませるという。
スポーツ紙の芸能担当記者は、「いまだにスポーツ新聞社の花形はプロ野球担当で、ハッキリ言って芸能担当はふだんから肩身の狭い思いをしている。とくに日頃社内にいる機会が多いデスクたちはストレスやうっぷんが溜まっているようで、『スポーツ担当の度肝を抜くようなスクープをとって来い!!』なんて我々記者に発破をかけるんですよ」とこぼす。
結果、各スポーツ紙の芸能担当記者は12月上旬あたりから記事の仕込みに励むことになるわけだが、そもそも同じスクープでも “元旦スクープ”はいわゆる週刊誌や女性誌などのスクープ記事とは性質がまったく異なるという。
「週刊誌のスクープ記事は情報を集めたり、裏取り取材や撮影するために張り込みしたりするのが大変な一方、書き逃げできる気軽さはありますよね。逆にウチらは情報収集や取材はしやすい反面、記事にするのが非常に難しい。というのも、スポーツ紙は一次情報を扱うメディアという特性上、ほとんどの芸能事務所やレコード会社、映画会社などとは日頃から付き合いがあり、懇意にしていて芸能人にとってネガティブな記事は書きにくいんです。つまり、スクープといっても週刊誌のように好き勝手書くわけにはいかず、いかに記事の対象となる芸能人サイドに記事化を納得してもらうかが勝負になります」(前出・芸能担当記者)
逆に言えば、こうした記事化の許可さえもらえれば話はスムーズなわけで、「結局は人気芸能人を多く抱える大手芸能事務所との日頃のお付き合いの“深さ”がカギになってきます。日頃から先方が喜ぶように看板タレントのヨイショ記事を書いたり、売り出し中の若手女優を記事に取り上げたりすることで御機嫌を取り、“元旦スクープ”の相談をするわけです」(前出・芸能担当記者)とのこと。
その結果、業界内で噂になっている所属タレントの熱愛や結婚をライバル紙に先駆けて報じたり、時にはインパクトを重視するあまり多少トバシ気味の記事が世に出ることもあるとか。
「2016年の正月に出た神田正輝さんと三船美佳さんの熱愛記事に関しては、両人ともかなり怒りをあらわにしつつ完全否定しましたし、広瀬すずさんと成田凌さんの熱愛もそれぞれの所属事務所が即座に事実無根と否定しました。元『AKB48』の前田敦子さんとロックバンド『RADWIMPS』の野田洋次郎さんの親密交際が報じられたこともありましたが、こちらは当人たちがSNSで直接否定しており、業界内では確信犯的なトバシ記事ばかりともっぱらです」(同スポーツ紙の芸能担当記者)
新しい年明けを誤報で迎えるとは、標的になった芸能人にとってはとんだトバッチリ。もっとも、インパクト狙いだけでなく信ぴょう性の高い記事も当然あるわけで、“元旦スクープ”に関しては記事の真偽を見極める眼力が読者にも求められるようである。