共和党からも危機感!? トランプ大統領の“悪あがき”で「テロ対策」に懸念の声

「恥ずべきことだ。大統領の政治的遺産にとってよいことではない」

 バイデン氏は未だに負けを認めようとせずに“悪あがき”を続けるトランプ氏をこう批判したが、さすがに国家安全保障のブリーフィング(報告などの引継ぎ)を行わないのはマズいとトランプ氏の身内の共和党幹部からも危機感を抱いているとの報道がなされている。

「それはそうでしょう。いくらアメリカがもう『世界の警察』の座を返上したとは言え、世界中の軍事的パワーバランスの中心にある上、アメリカがテロに見舞われるかもしれない可能性は常に存在しています。事実、9.11テロはジョージ・ブッシュ氏が勝利した00年大統領選挙の翌年に発生したもので、負けたアル・ゴア氏が今回の大統領選挙でも問題となっている票の再集計を求めていたために、ブッシュ政権への移行期間が短い間隙を縫う形で発生したものだとの報告がアメリカ国内では上がっているくらいですから。テロ対策が懸念されるのも当然です」(フリージャーナリスト)

 ただそこはトランプ氏。単なる安全保障上の政治空白が心配されるだけでなく、普通なら心配しなくても良いことにまで懸念の声が上がっているという。

「トランプ氏がホワイトハウスを去ってからも果たして彼が秘密を保持できるのかという心配です。17年にはロシアの外相と会談した際に、当時高まっていたイスラム過激派組織『ISIS』についてアメリカが独自に得た情報をポロっと漏らして情報源が危機に晒されたということもあれば、19年にはイランのミサイル発射台の衛星画像をツイッターに上げるということがありました。それじゃあ監視相手にこちらの手の内を見せているようなものです」(前出・フリージャーナリスト)

 一方で、トランプ氏の無頓着さから楽観視する見方もある。

「トランプ氏は毎日スタッフから受けるブリーフィングを面倒臭がってしばしばサボっていたことはよく知られています。ですから、本来は国家存亡にかかわる重大機密も勝手に取捨選択されて右から左に抜けていた可能性は高い」(政府情報筋)

 あの有名なドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏もテレビ番組に出演した際にこのことについて言及、「頼むから真面目に聞いてくれ」と懇願したくらいだ。

 とは言え、ホワイトハウスを去って「ただの人」になったトランプ氏は、女性問題、脱税疑惑などで複数の訴訟、訴追が及ぶ可能性が指摘されている。ディールが得意な彼だけに、国家機密を交渉の材料にするなどという可能性も考えられなくもないから恐ろしい。

(猫間滋)

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