コロナ禍による収入減、野菜価格の高騰でどこの家庭も家計のやりくりに四苦八苦。そんな中で重くのしかかってくるのが、住宅ローン。総務省の統計によれば、約4割の既婚世帯が何らかのローンを抱えており、その総額の9割は土地や家屋の購入費用と言われ、返済が滞れば、住み家を失う事態を招きかねない。
住宅ローン延滞への恐怖から、夫に秘密でピンク産業への勤務をはじめたという主婦に話を聞いた。埼玉県在住の典子さん(仮名)。38歳。子供は2人。
「家を購入したのは3年程前。都心から沿線で30分ほどの住宅街です。頭金は夫の実家から援助してもらいました。諸経費込みで4700万円。夫の年収からすると、ギリギリの買い物でした。35年払い、ボーナス返済も含めて、いっぱいいっぱいの返済額です。私も近所の食堂でのパートをはじめ、家計の助けとしました。それでも住宅ローンとふたりの子供の教育費の積み立てで、月々いくらも残りません。そこにコロナがやってきました。主人の勤め先は中堅の食品産業なのですが、かなりの打撃を受けてしまったんです」
ひとくちに食品産業と言っても、コロナ禍で売上を伸ばした企業もあれば逆に大幅な利益ダウンに苦しむ企業もある。典子さんの夫が勤める会社は、大手外食チェーンを主なクライアントとしていたことから業績は低迷。方針転換を余儀なくされたという。
「主人が言うには、『派遣は全部クビになった。次は俺たちか…。ボーナスは全面カットらしい』と、かなり不安な様子。折悪く私のパート先も閉店。まずは投資信託を解約しようとも思ったのですが、途中解約はかなりの損になるとわかり、主人に反対されました。住宅ローンの支払いの猶予の相談に金融機関に行きました。しかし、主人の年齢や収入だとローン期間の組み替えも、返済額減額や元本据え置きも無理とのことでした。結果的に相談した甲斐はなく、金利優遇廃止などの延滞した場合のリスクなどを説明されるだけで、脅されにいったようなものでした」
行き詰まった典子さんが選んだのは、夜の性産業への“転身”だった。
「夫に『頭金は俺の実家が払ったんだから、後はお前が何とかしろ』と言われました。でも私は実家に頼れない事情がありまして…。それで、子供の学校のお母さんに、そういった方面での仕事をしているという噂される方がいまして、思い切ってその人に相談したんです。そうしたら、年増のアラフォーとかアラフィフ専門を謡うような店を勧められ、家と子供を守るために心を決めました。夫には新しいパート先が見つかったと嘘をつきました。これが最寄り駅の“大人向けホテル”に派遣されることも頻繁で、もしも子供の学校の父兄や近所の人にバレたら…と震えるような気持ちでやっています。ローン返済の目処がついたら、一刻も早くヤメて、何もかもなかったことにしたいです」
人生計画を根底から崩すコロナ禍。人々の苦難はこれからも広がっていきそうだ。
(オフィスキング)
※写真はイメージです