「フサフサでありたい。いや、せめて脱毛を食い止められれば‥‥」。全国1300万人といわれる「頭部が寂しい男たち」が、現実を直視しつつも切実に抱く願望である。育毛、脱毛阻止の頭皮ケアや食生活情報のみならず、実はハゲに直結する「危ない食事」も存在した!
医療法人社団東美会の麻生泰理事長は病院勤務医の頃、「大失敗」をしたという。
「当直勤務中に仮眠をとっていて、緊急呼び出しがかかった際にボーッとしていてカツラをかぶらず病棟に向かってしまったのです。私の姿を見た看護師や同僚は、アゼンとしている。そこでハッとなり、カツラをかぶり忘れていることに気がついたのです‥‥」
鬱々とした気分になって思ったのは「やはり自毛を増やしたい」。この赤っ恥経験が、AGA治療を始めるきっかけになったという。
「髪にいいと言われていることは民間療法から海外の医薬品まで、全て試してみました」(麻生理事長)
海藻を茶碗に盛って食べ、薬を頭皮に注射。AGA治療薬の効果は自分の体と頭で逐一、検証した。
そうしてみずから実験台となって試行錯誤した治療法で、男性型脱毛治療の専門クリニックを新たなビジネスモデルとしたのだが、男性型脱毛は「進行を遅らせる」ことで、年齢相応のソレに落ち着いていく。
これら育毛治療のベースにあるのは、毛髪の材料となる栄養素をバランスよく摂ることだ。
「薄毛に悩む方が見落としがちなのは、食生活とタンパク質の摂り方です」
と言うのは、麻生理事長が顧問を務めるAGAスキンクリニックの新宿駅前院院長、西垣匠医師である。
「治療のひとつにサプリメントもありますが、それのみに頼るのはいいとはいえません。やはり人体に必要な栄養素をくまなく摂ることが大前提です。髪の毛の材料となるミネラルやタンパク質を十分に摂取する必要があります」
特に重要なのが亜鉛だ。亜鉛の検査はどこの医療機関でも一般的な血液検査に追加でき、AGA治療相談の際に受けることも可能。西垣院長が続ける。
「薄毛に悩む患者さんの血液検査をすると、亜鉛不足が見つかることがあります。亜鉛は育毛に欠かせないミネラルであると同時に、男性ホルモンや精子を作り出すのにも必要です。つまり亜鉛不足は薄毛の原因だけではなく、性欲減退や男性機能不全、味覚障害、気力低下も引き起こす。自分で作り出すことができないので、日々の食事で摂る必要があるのです」
つまり亜鉛が足りない食生活こそが、ハゲの大きな要因なのだ。
ではどんな食事、生活習慣がハゲに直結するのか。具体的な「ハゲめし」と食生活をみていこう。
【1】過度の飲酒
「これは体内の亜鉛を減少させます。アルコールを体内で分解する際の酵素の材料が亜鉛だからであり、多量の飲酒は亜鉛欠乏症を招きます。目安は二日酔いが連日続くかどうか。もし続けば肝臓がフルスロットル状態になっているので、肝機能にも影響が出ます」(西垣院長)
アルコール依存症患者はほぼ亜鉛欠乏症と言われる。亜鉛不足は抑鬱状態も引き起こすので、酒を飲んで亜鉛不足になり、抑鬱状態を払拭するためにまた酒を飲むという悪循環に陥るのだ。