農林水産省が、和牛の受精卵などが海外に流出するのを防ぐため、不正な売買や譲渡に対して刑事罰を設ける方針を固めている。和牛は海外で「WAGYU」と称され絶大な人気を誇っているが、これまで不正な持ち出しを防ぐ法規制がなかった。「和牛の不正流出は厳罰化するべき」という意見も少なくない。
「WAGYUは今や高級牛肉の代名詞となっており、世界中で需要が高まっています。その影響から、欧州などではアメリカやオーストラリアから入手した和牛の遺伝子を交配した非日本産WAGYUが数多く出回っており、中東やアジアにも輸出されているんです」(社会部記者)
中にはWAGYUを代表する高級ブランド「神戸ビーフ」を騙る偽物も多く出回っているとされ、神戸ビーフの流通関連団体がDNA採取をして真偽を確認する仕組みを作るなど対応に追われており、農水省も本物の和牛を守ろうと神経を尖らせているのだ。
「日本では、かつてイチゴの品種が韓国に流出したこともあります。17年に『東京新聞』が報じたところによれば、栃木県が開発した『とちおとめ』や個人開発の『章姫』『レッドパール』などを勝手に交配したイチゴが韓国で大量に生産され、韓国ブランドとして世界各国に輸出されてしまっている。農水省が出した数字では、5年間で220億円の損害を受けたといいます」(経済ジャーナリスト)
そういった経緯もあってか、ネット上では《これまでに奪われたイチゴやブドウ、和牛…大損害。刑事罰でも重くしてほしい》《日本は法整備が遅れ過ぎ。流出先への捜査とペナルティが求められる》《農家や畜産家の努力の結晶をたやすく海外に流出させるヤツは厳罰に処するべき》などなど、厳しい意見が相次いでいるのだ。
これ以上、日本の大事な資源を海外に奪われないように、国をあげて守っていかなければならない。
(小林洋三)