身に降りかかる不幸もネタに替えてしまうのが、お笑い芸人。緩急激しいジェットコースター人生を歩む者は少なくない。ここ数年で、見事なまでのV字回復を遂げたのは陣内智則だろう。紆余曲折を経た現在は、妻の松尾未央アナと女児の3人で暮らす、幸せ家族のパパだ。
周知のとおり陣内の前妻は女優の藤原紀香。藤原もすでに、歌舞伎俳優・片岡愛之助と再婚している。
そもそも陣内と藤原は、06年に放映されたドラマ「59番目のプロポーズ」(日本テレビ系)の初共演をきっかけに交際をスタートさせた。翌07年、2人の故郷である兵庫県神戸市の生田神社で挙式。この模様が日テレ系で放映されると、関西では平均視聴率40%という驚異的な数字をマークしている。しかし、格差婚はおよそ2年で破たんした。
ところがこの陣内と紀香の結婚が、当時くすぶっていたタレントにチャンスを与えるきっかけとなっていたことはあまり知られていない。
「最も恩恵を受けたのは、はるな愛でしょう。それまで地元の関西では、美人ニューハーフとしてバラエティ番組に出ており、紀香と大の親友。2人で旅行に行ったこともあるほどです。当時から都内で小さなバーを経営していて、松浦亜弥のエアものまねをして爆笑をさらっていました。はるなは紀香の披露宴の2次会で“エアあやや”を披露。業界関係者の目にとまり、東京の番組に出るチャンスを得たのです」(芸能関係者)
陣内と紀香の離婚から10年。はるなはマルチタレントとして、今なお活躍中だ。同じく、2人の2次会でチャンスをつかんだのは、ピン芸人のムーディ勝山。
「当時はまだ、コンビ漫才師だったムーディ。同僚芸人のダイアン・津田篤宏の結婚披露パーティーで、後に一世を風靡するムード歌謡ネタ『右から来たものを左へ受け流すの歌』を披露しています。すでに関西芸人の間ではテッパンのネタだったので、会場は大爆笑。このブームをさらに拡大させたのが、やはり陣内・紀香の2次会。より多くの業界関係者の目にふれたことで、番組出演につなげました」(前出・芸能関係者)
ピーク時にはCM10本、「NHK紅白歌合戦」に出場するなど順風満帆だったが、ブームは静かに下降線。今は関西と関東から撤退して、東北や中部などの地方ラジオ・テレビ局でレギュラー番組を持つ。
陣内と紀香の関係は終焉を迎えたが、2人に足を向けて寝られないほど感謝しているタレントはいるのだ。
(北村ともこ)