物価高が続く中、飲食チェーンの多くが「1000円以下の定食」に力を入れているという。確かに「大台」に乗ってしまうと、一気に割高感が強まってしまい、選択に躊躇する客も多いのだろう。
とんかつ専門店「松のや」は、3月19日から価格を1000円以下の990円に抑えた「ムートート定食」を発売する。「ムートート」とは、豚バラ肉を醤油ベースの特製揉みダレに漬け込み、ジューシーに揚げた「タイ風豚バラ唐揚げ」のことで、カリッとした独特の食感が特徴だ。「甘酢っぱ辛い」スイートチリソースが付属するので、途中から味変が楽しめるのも嬉しい。昨年3月に新登場した際は、新感覚の味覚がウケて多くの客が訪れた。
同定食には、ロースカツや唐揚げを組み合わせたバージョンもあり、どちらも同じ990円。今どきの「1000円以下」のムーブに合わせた価格設定になっている。ところが、消費者の反応は少々手厳しいという。理由は「値上げ」だ。フードライターが語る。
「昨年3月に新登場したときの『ムートート定食』の価格は790円でした。1年で約20%の値上げは、再販を楽しみにしていた人にとってみれば『やっぱり…でも残念』という気持ちなのでしょう。もっとも、ロースカツと唐揚を組み合わせたバージョンは、前回は950円だったので、値上げは40円に留まっています。オーダーするならこちらを選んだほうが、お得感がありますね」
ムートートは、本場のタイ料理店ではおかずというより「つまみ」の扱いで、定食にするとボリュームの点で物足りなさを感じる人もいるようだ。同じ990円を払うのであれば、「ロースかつ&ムートート定食」「本格唐揚げ(3個)&ムートート定食」の方が、量、価格ともに満足度は高いだろう。
(ケン高田)