カマンベールチーズ(以下、カマンベール)が人気を盛り返している。2024年12月更新の「食品新聞」(電子版)によると、スライスチーズなどリーズナブルなチーズの喫食頻度は減少したが、カマンベールなど高価格帯のチーズは前年売上高を5~6%ほど上回ったという。なぜ、カマンベールは好調なのか。
カマンベールとは、表皮は白カビで覆われ、中身はソフトな感触のチーズ。トロリとした濃厚な味わいで、フルーティーな赤ワインとよく合う。ワインのお供としてだけではなく、近年、健康効果も注目されているのだ。
キリンは東京大学との共同研究により、カマンベールに含まれる「βラクトペプチド」という成分に記憶力や意欲に関わる神経伝達物質のドーパミンを増加させる作用があることを突き止めた。物忘れが気になる健常な中高年を対象とした臨床試験では、プラセボ(偽薬)摂取群と比べて有意に記憶力と注意力が高まることが確認されている。
明治、桜美林大学、地方独立行政法人・東京都健康長寿医療センターらの研究グループは、カマンベールの摂取習慣が認知機能の高さと関連することを確認した。カマンベールに含まれる「オレイン酸アミド」という脂質成分を継続的に摂取することで、日本人中高年の記憶力などの認知機能の維持や、睡眠の改善に寄与する可能性があることを明らかにしている。
「人間は加齢とともに誰でも記憶力は低下し、集中力も落ちてきます。脂が乗ったミドル世代のビジネスマンも例外ではありません。カマンベールというと、ちょっと高級な酒のつまみというイメージもありますが、認知機能の維持・向上を目的として意識的に摂取する人が増えた結果、売上高のアップにもつながったのかもしれません」(健康ライター)
美味しくて認知機能が高まるカマンベール。食べない手はない。
(石田英明)