石破首相に「新・増税メガネ」の汚名!サラリーマン「退職金課税案」がまたゾロ浮上

「増税メガネ」と世論から猛批判を浴びたのは岸田前政権だが、石破内閣も陰で新たなサラリーマン増税策を画策していることが明らかになり、「新・増税メガネ」との批判が巻き起こりつつある。

 金融アナリストが、新増税への懸念をこう明かす。

「サラリーマンらの退職金への課税を強化するかどうか、議論が進められています」

 11月15日に開かれた首相の諮問機関、政府税制調査会で、退職金課税を見直すべきという論議が、またゾロ出てきたという。

「会合に出席した有識者のひとりが『今の時代、転職が急増している。企業は退職金を積み増すよりも、今の給与を手厚くする傾向が強まっている。時代のニーズに合った税制に変えるべき』と口火を切ると、財務省も待ってましたとばかりに『勤続20年を境に控除額が変わる現行の仕組みが、1989年から30年以上変わっていない』と説明したのです」(同)

 日本は終身雇用制が多く、サラリーマンが会社に長年貢献して、その報いにいただくまとまったお金が退職金だ。そして退職金については、国も人生設計の重要アイテムとみなしてきたことから税制上優遇されてきた。具体的には勤続20年までは、年40万円を控除、20年を超えると控除額は年70万円に増額される。金融関係者が解説する。

「防衛費増額などを打ち出していた岸田前内閣は何とか税収が増やせないかと模索、ついに禁断の退職金を課税強化する方法が政府税調の答申に盛り込まれた。ところが世論が猛反発して、岸田首相は『増税メガネ』と罵声を浴びた。そのあまりの批判に岸田政権は慌てて火消しに走ったものの時すでに遅し、支持率は昨年末には20%台にまで急落したのです」

 以来、退職金課税強化案は鳴りを潜めていたが、石破内閣になり再度頭をもたげてきたというのだ。

 総選挙の大敗で、石破内閣は少数与党となり政権運営には野党の意見を聞かざるを得なくなった。つまり躍進した国民民主党を当面味方につけるためにも国民民主が主張する所得税免除年収103万円の引き上げ案、いわゆる「103万円の壁」撤廃を飲まざるを得なくなった。

「壁のラインを国民民主の唱える178万円にまで引き上げると、減収額は7兆~8兆円、うち地方税減収分は4兆円程度と驚くべき試算が出ています。そうなると全国の自治体は1道府県につき数百億円規模の税収が消えることになり、日本中に財政破綻した夕張市のような地方都市が続出する事態になりかねない。また103万円の壁以外にも、物価高騰に伴う非課税世帯への給付、電気代、ガソリン代補助金などバラマキ案が目白押し。石破内閣としては1円でも新税収を得たいと藁にもすがりたいところで、そこで目をつけた1つが増税メガネが断念した退職金課税強化の復活というわけです」(同)

 自民党幹部が言う。

「103万円の壁を引き上げる方向だから、世論も岸田政権時ほどの猛反対は出ないのではないか」

 しかし退職金課税が強化されれば、サラリーマンの老後設計にも大きな影響が出るだけに、自民党幹部が楽観するほど甘くはない。政権にとっては危険なトリガーとなる可能性が極めて高い。

(田村建光)

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