海外クラウドサービス「大規模障害頻発」で求められる「国産クラウド」の必要性

 クラウド型顧客関係管理(CRM)の米IT大手「セールスフォース」の大規模障害が、大きな波紋を呼んでいる。

 11月15日午後、複数の自治体のサイトが閲覧できなくなる障害が発生した。石川県や神奈川県などが災害情報を掲載するサイトに不具合が生じたのだ。また、金融機関などでもシステムに不具合が起きたことを発表したが、いずれもセールスフォースの影響と見られている。

 ネット上では、《まったく仕事ができなくなった》《セールスフォースが落ちてる。業務止まってマジでなにもできない》《セールスフォースの障害で仕事にならん。これヤバいだろ》などと、セールスフォースを利用するリモートワーカーなどから一斉に悲鳴が上がった。

 復旧作業が行われる中、セールスフォースでは、「複数のチームが原因の調査と解決への複数のパスの検討に積極的に取り組んでいます」とアナウンス。16日未明になって、ようやく復旧の報告と謝罪を発表した。

 各方面に大きな影響を及ぼした今回の大規模障害だったが、その結果、「自治体が海外のサービスに依存するのはいかがなものか」などと、懸念の声が上がっているという。ITライターが語る。

「過去には楽天やPayPay、イオンなどが、セールスフォースのクラウドの設定不備で不正アクセスの被害にあっています。公正取引委員会の『クラウドサービス分野の取引実態に関する報告書』によれば、海外事業者の寡占が進んでいることがわかっており、このような実態から、国産クラウドの必要性を訴える声が高まっているんです」

 国産クラウドならシステムがより堅牢になるという保証はないが、事業を進める上で「クラウドは海外一択」という状況は、確かに健全ではないのかもしれない。

(ケン高田)

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