「もっとレフト方向に打つように」日ハム・清宮幸太郎を放出スレスレで覚醒させた“ダメ出し”と“腑に落ちた助言”

 日本ハムが8年ぶりにクライマックス・シリーズ(CS)でファイナルステージ(FS)に進出した。

 この躍進の要因の一つに、今季プロ入り7年目となる清宮幸太郎の“覚醒”がある。FS出場を決めたお立ち台では「チームのみんなとまだ野球ができる。本当に幸せ」と涙ぐみ、一方で清宮に“愛あるダメ出し”を続けてきた新庄剛志監督は「泣きべそやね。嬉し泣きなんで許してやろうかな」と言いつつニンマリだった。

「これまで鳴かず飛ばずだった清宮は、キャンプ前に毎年のように故障を繰り返し、今年も自主トレ中に左足を捻挫。4月下旬に1軍昇格したものの、極度の不振で5月頭に即2軍に落とされる有様で、トレードの話が再三聞かれました。打てる内野手の補強で後半戦の巻き返しを画策していた阪神などは、かなり乗り気だったようです」(日ハム担当記者)

 清宮自身、昨年11月には1つ年下で18年ドラフト1位で入団した吉田輝星投手のオリックスへのトレードを目の当たりにしている。

「昨年のエスコンフィールドへのホーム移転に向け、4番清宮、エース吉田という構想もあった。清宮が次は俺かもと思ったことは間違いありません。それだけに後輩の放出にはかなりショックを受けた様子で、同時に相当な危機感を持ったようです」(前出・日ハム担当記者)

 そんな中、今季から現場に加わった稲葉篤紀2軍監督による再生指導や、前述のように新庄監督の愛あるダメ出しがここへ来てようやく実り始めた。

「もう1つ、昨季に中日から移ってきたマルティネスの存在も大きい。エスコンではロッカーが隣どうしで、清宮も『グワチョ(マルティネスの愛称・優れたカウボーイの意)さんとはよく打撃の話をする』と語っていますが、『もっとレフト方向に打つように心がけてみたら』とのキューバ代表の助言が腑に落ち、効いているようです」

 そんな清宮が16日から始まるソフトバンクとのFSでも主役になることが、日本ハムの日本シリーズ進出のキーポイントとなる。

(小田龍司)

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