水害発生2日後に…金正恩氏の被災地視察で噴出した「岸田総理よりマシ」風評

 北朝鮮北西部の国境地帯で大雨により川が氾濫し、大規模な水害が発生したのは7月26日。朝鮮中央通信が報じたところによれば、広大な農地をはじめ、住宅約4100棟が浸水し、一時は約5000人の住民が孤立状態にあったという。

 この被害を詳報したのは、8月15日放送の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」。司会の宮根誠司が「どこまでが陸地でどこまでが川なのかわからない」とコメントしたとおり、朝鮮中央テレビの映像には水没した農地や住宅地が映し出されていた。番組が着目したのは北朝鮮のトップ、金正恩朝鮮労働党総書記の“異例の視察”だった。メディア誌ライターが語る。

「番組で取り上げた映像は、金正恩氏の視察の模様でした。ボートに乗って水没エリアを見てまわり、避難所を訪問。被災者が暮らすテントを訪れ、少女に白いドレスを手渡して励ます一幕もありました。金正恩氏が水害発生から2日後に現地入りしたことについて、司会の宮根さんは『今まで聞いたことがない』と驚きの声をあげ、北朝鮮情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授も『即、現場に赴いたのは初めてだと思います』とコメントしていました。もっとも、被災者に寄り添う姿をアピールしたのは、裏を返せば、それだけ国民の不満がたまっているということ。『5000人をヘリで救出した』という報道にも違和感を覚えます」

 いわば国内不満のガス抜きのためのパフォーマンスとも受け取れるが、番組の視聴者からは、《岸田総理よりマシ》《金正恩のほうがトップとしては優秀ってこと?》《日本のトップは北朝鮮以下か》といったコメントがSNSに書き込まれることとなった。

「たしかに、これまでの岸田総理の災害対応を振り返ると、被災者に寄り添う姿勢があまり見られなかったのは事実。今年1月に発生した能登半島地震でも、現地を視察したのは2週間後。避難住民への聞き取りも十分とはいえず、その後の復興は遅々として進まない。7月には山形県と秋田県で大雨が発生し、1000棟以上が浸水被害を受けましたが、いまだ岸田総理は現地視察を行っていません。先日、次期総裁選への不出馬を表明したばかりで、いまさら人気取りをする必要はないかもしれませんが、これまでの対応を見る限り、『被災者に冷たい』『被災地を見捨てた』という印象を抱かれても仕方ないでしょうね」(前出・メディア誌ライター)

 もっとも、岸田総理が現地入りして復興が各段に進むとは思えないが、かの国のトップのように、被災者に寄り添う姿は見せてほしいものだ。

(福島シゲル)

※写真は「労働新聞」より

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