ホテル代が高騰し、街は超厳戒態勢で…五輪開催中のパリを世界の観光客が敬遠している!

 連日、選手の激闘と感動が届けられるパリ五輪。そんなパリは、日本人だけでなく世界中の観光客に人気の観光地だ。国連世界観光機関の調べでも、昨年1年間に訪れた海外からの観光客数の「国別ランキング」で1位だったのはフランスの1億人。そのうち、南フランスに長期滞在するバカンス客を除けば、ほとんどの訪仏旅行者の目当てはパリだった。

 となれば、五輪との相乗効果でさらなる観光特需が期待できそうな気がするが、実際にはそうでもないらしい。パリ在住の旅行会社スタッフが嘆息する。

「7月はバカンスシーズンに加え、革命記念日(14日)関連のイベントも多く、例年はパリに大勢の観光客が訪れる時期です。うちの社では日本人以外の観光客向けの個人ツアーも請け負っていますが、申し込み件数は昨年同時期の8割ほど。五輪開催で恩恵どころか打撃を被っているんです」

 実は、五輪開催期間を含む、7~8月はパリ市内の宿泊施設が軒並み高騰しているのだ。もともとパリは欧州でもホテル代相場の高い都市として知られているが、今年はビジネスホテルクラスの宿でも1泊4~5万円台という価格設定になったという。また、パリ市内はテロに備えてものものしい警備体制が敷かれている。

「ホテル代の高さに加え、厳重な警備による不自由さや治安面での不安など、複数の要因が重なってパリを敬遠しているようです。五輪観戦が目的でなければ、わざわざこの時期に訪れる必要はないですから」(前出・スタッフ)

 航空大手のエールフランスは、観光客減少による6~8月の損失を最大1億8000万ユーロ(約300億円)と試算。さらに地元有力紙「フィガロ」は、6月のパリのホテル売上高が昨年同時期より25%減、7月のホテル予約数も大幅に減ったと報じている。

 五輪開催地が受けるメリットやデメリットには様々なものがあるだろうが、こと観光に関しては、今のところデメリットが勝ってしまっているようだ。

ライフ