ここ数年、不漁ぶりが伝えられているイカが、今年の漁獲量も過去最低になる見込みだ。このままではイカの価格高騰が続き、居酒屋の定番メニューであるイカ刺しやイカの塩辛、イカ焼きが姿を消す日も近いかもしれない。
「つい先日、サンマの不漁が話題となったばかりで、東京の目黒区で開催された『目黒のさんま祭り』ではスタートから23年で初の冷凍サンマが振る舞われたことがニュースになりましたが、イカにも同様の事態が起こっているのです。ケンサキイカで有名な山口県萩市では不漁が原因で『須佐 男命いか祭り』の中止が決定し、北海道函館市で毎年10月開催の『函館いか祭り』では冷凍イカで代用する予定など、深刻なイカ不足に陥っています」(社会部記者)
イカ不漁は乱獲と海水温の上昇が原因と考えられており、2010年に20万トンあったスルメイカの漁獲量は、17年には6万4000トン、昨年は4万6000トンと過去最低を記録したが、今年はそれをさらに下回る可能性が高い。イカの卸値は通常の3〜4倍に高騰しており、イカ商品の値上げや販売中止が相次いでいる。
「イカの高騰を受け、『よっちゃん食品工業株式会社』は昨年、駄菓子屋などで人気の『よっちゃんイカ』の実質的な値上げに踏み切り、当たりくじも廃止しました。また、ファミレスチェーンの『サイゼリヤ』は、チョイ飲みのつまみとして絶大な人気を誇っていた『真イカのパプリカソース』の販売を今年終了させています。庶民の味として親しまれてきたイカですが、このまま価格の高騰が続けば特に個人経営の居酒屋などでは提供が困難になると見られ、居酒屋メニューから完全に消える日も近いかもしれません」(経済ジャーナリスト)
「肴はあぶったイカでいい」が通用しなくなる時代がやってくるかも。
(小林洋三)