今年で放映開始から30年目に突入したテレビ東京系の情報バラエティー「出没!アド街ック天国」。「地域密着系都市型エンターテインメント」を謳い、毎回、様々な地域を取り上げて独自調査で見どころやイベント、飲食店、局地的なブームをランキング形式で紹介していく。
4月27日放送回で“出没”したのは埼玉県春日部市。人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の舞台になったことで、知名度は格段にアップした。メディア誌ライターが振り返る。
「20位には春日部市民の足として知られる“春バス”が入り、いちご狩りで有名な農園やイタリアンの名店、さらには朝ラーメンが味わえる駅構内の店などが取り上げられ、このGWにも足を運びたくなるような内容でした。3位に入ったのは『クレヨンしんちゃん』。この段階で、春日部に詳しい視聴者の間では、《藤じゃないか》《大凧あげでしょ》《藤か大凧か…》などと1位を当てる予想合戦が繰り広げられていました」
気になる結果は2位が「藤」。1位に輝いたのは毎年5月3日、5日に行われる「大凧あげ祭り」だった。番組では、1500枚の和紙で作る100畳の大凧を紹介。その重量は800キロになるというが、SNSでは《これは行かねば》《生で見たい》と絶賛コメントが相次ぐ中、《大凧は春日部なのか?》《大凧は庄和町のイベントですよ》《大凧が1位は釈然としない》などと異論が噴出する事態に…。
「江戸時代から続き、国の選択無形民俗文化財に指定されている大凧あげは、もともと庄和町で行われていた行事で、90年には『大凧会館』が作られました。しかし、2005年に隣接する春日部市と合併。『庄和町』という地名は消滅しました。合併から20年も経ってないことから、地元民の中には『春日部市』と『庄和町』を一緒くたにすることに違和感を覚える人がいてもおかしくありません。一方、春日部市民からも、《藤が大凧に負けた》《春日部には大凧を超えるものがないってこと?》などと落胆の声があがっていました」(前出・メディア誌ライター)
庄和町という地名はなくなったが、「庄和」の名は「庄和大凧文化保存会」の中に今も息づいている。5月3 日、5日の大凧あげ祭りはぜひとも成功させてほしい。