「100歳まで生きたい」日本人は少数派…長寿国ニッポンが抱える大問題

 博報堂DYホールディングスのシンクタンク「100年生活者研究所」が世界6カ国で調査を実施したところ、「100歳まで生きたいと思いますか?」との質問に日本だけ「そう思う」が3割未満だったことが分かった。世界でもトップレベルの長寿国である日本でなぜ長生きしたくない人が増えてしまったか。

「100歳までいきたいかの質問に『とてもそう思う』『そう思う』と回答した日本人は合計で27.4%で、アメリカの66.7%、中国の65.6%、フィンランドの58.4%、韓国の53.1%、ドイツの52.8%と比較しても圧倒的に低い数字となり、唯一過半数を下回っていたことが分かりました。また、自分の幸福度を10点満点で評価する質問でも、日本は6カ国中最下位となっているのです」(社会部記者)

 同調査によると、100歳までの人生については、日本人の約7割が「みんなに迷惑をかけたくない」と考えており、約6割が「100歳の人は大変そうに見える」と回答するなどネガティブにとらえている人が多い。これは、経済的な不安や社会的な不安があるのはもちろんのこと、家族の介護をした経験が影響しているのではないかという指摘もある。

「日本は長寿国である一方で、介護を必要とする人が多い国でもあります。有料老人ホーム検索サイト『ケアスル介護』が昨年2月に発表した調査結果によると、日本人の約4人に1人が介護の経験があり、そのうちの77%が両親の介護経験。日本では親の介護は子どもがすべきという意識が強く根付いており、心身ともにギリギリになるまで介護士ではなく自分が何とかしなければと抱え込んでしまうケースも多い。“介護疲れ”や“介護地獄”と言われる状況に陥りがちなのです」(ライフジャーナリスト)

 日本にベビーシッターが根付かない問題も同様、日本人はもっと色々なことをアウトソーシングしていかなければ、なかなか「幸せ」を感じられず、「長生きしたい」と思えるようにもならないのかもしれない。

(小林洋三)

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