「はま寿司」から“5億円提訴”された「かっぱ寿司」、かつての業界1位はいま…

 外食大手のゼンショーホールディングス(HD)は12月27日、回転寿司チェーン「はま寿司」の営業秘密を不正に持ち出して使用したとして、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトに対して5億円の損害賠償を求め東京地裁に提訴したと発表した。

「カッパ社の田辺公己前社長は、20年にゼンショーHDから転職する際に『はま寿司』の食材原価や仕入先に関するデータを持ち出したとして提訴され、不正競争防止法違反の罪で懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決が下されています。持ち出されたデータはカッパ社で使用されたのみならず、同じコロワイドグループのコロワイドMDにも開示されていたことが分かっており、ゼンショーHDによれば63億円以上の損害が発生したとして、5億円の損害賠償を求めているのです」(社会部記者)

「かっぱ寿司」といえば、かつて業界のトップランナーだった。しかし、回転寿司のファミレス化が進む中で流れに乗り遅れ、「スシロー」や「くら寿司」、そして「はま寿司」の後塵を拝し、業界4位まで転落してしまった。そんな中で起きた、営業秘密の不正持出し事件に「かっぱ寿司」に失望を覚えた人も少なくなかっただろう。同チェーンは昨年から店舗数を減らし、ついには300店舗を割り込んでしまっている。

「今、回転しない回転寿司チェーン『魚べい』が躍進を遂げて店舗数を増やしおり、今後は関西を中心に出店攻勢をかけていき、国内200店舗、いずれは500店舗を目指すとしていますから、『かっぱ寿司』はこのまま業界5位にまで転落してしまう可能性もあります。現在、カッパ社はゼンショーHDからの提訴に加え、不正競争防止法違反の罪で罰金3000万円も求刑されていますからね。ここで踏ん張るためにも、新しいコンセプトを打ち出して再出発する必要があるかもしれません」(フードジャーナリスト)

 カッパはこの厳しい川の流れに逆らってのぼっていけるか。

(小林洋三)

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