「闇の武器商人」北朝鮮がボロ儲け暗躍(2)「経済制裁の倍」12億ドルを荒稼ぎ

 国際ジャーナリストの山田敏弘氏が話す。

「日本でも21年に公開された『ザ・モール』という、デンマークなど欧州の4カ国合作のドキュメンタリー映画があります。これはデンマークの元料理人が国際的な武器密輸のネットワークに潜入して、北朝鮮の国際犯罪組織と接触。そして『スカッドミサイル5発で1400万ドル』『スカッドEミサイル5発で2470万ドル』などと書かれた武器のカタログを、北朝鮮側から提示される場面などを暴いています。この映画は潜入・撮影に10年を費やした記録で、以前からこうした国際的な武器密輸ネットワークで、北朝鮮は武器を外国に流してきたことが明かされている。しかも、民間人にも売ろうとするなど何でもあり。だから正式な国際ルートを経ずとも、こういった闇のルート経由で、北朝鮮の武器がハマスに渡っても、何ら不思議はないのです」

 これ以外にも、以前から、ハマスの背後にいるとされるイラン、シリアの中東反米グループと北朝鮮との間での、兵器開発を巡る緊密な協力関係を示すこんな事件も起きている。

「04年に北朝鮮の龍川駅で、大規模な爆発事故が発生しました。これには当時の金正日総書記を狙ったテロ説がありましたが、少なくとも50人以上いた死者の中にはシリア人技術者が含まれていました。そしてこの情報をつかんだアメリカの諜報機関から『どうも両国が技術協力をして核兵器の開発を進めているらしい』という情報がイスラエルにもたらされ、イスラエルのモサドが特別作戦を展開。シリアの核開発施設の所在を突き止め、空爆で破壊するに至った。これなど、中東の背後でも北朝鮮が暗躍していることを示す、象徴的な出来事と言えるでしょう」(山田氏)

 現時点で、ヨーロッパではロシアとウクライナの戦争、中東でイスラエルとハマスの戦争と、もはや第3次世界大戦前夜を思わせる混乱ぶりだ。そこに乗じて北朝鮮は火事場泥棒的にボロ儲けしているというのだ。「コリア・レポート」編集長の辺真一氏が詳述する。

「最近、韓国の国家情報院が、北朝鮮の兵器工場がフル稼働中との報告を行いましたが、これは正しいでしょう。9月の金正恩とプーチンの会談後早々の11月、北朝鮮は砲弾や短距離弾道ミサイルなどを積んだ約2000個のコンテナをロシアに送っています。これが仮に155ミリ砲弾200万発だとすると、安くても12億ドルになります。北朝鮮はミサイル発射で約6億2000万ドルの国連安保理による経済制裁を受けていますが、ロシアへの武器提供だけでこれを差し引いても、お釣りがくるどころか制裁分と同額程度の収入になるのです」

 中東の戦争ではハマスにヒズボラと特需が生まれた上に、イラン・シリアまで拡大すれば、もはや金正恩が悠々自適で1人、高笑いするという恐ろしい事態が予想されるのだ。

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