AI女優が殴り込み? 伊藤園CMで見えた「商品広告にタレントは要らない」時代

 飲料メーカー大手の伊藤園が「お〜いお茶 カテキン緑茶」のテレビCMにAIタレントを起用したことが大きな話題となっている。自然な表情や仕草を見せる女性に《この人物は実在しないのか…》など驚きの声も相次いでいるが、今後テレビCMはAIタレントが席巻するかもしれないという。

「話題となっているのは、9月から公開されている『お〜いお茶 カテキン緑茶』のCM『未来を変えるのは、今!』編で、CMでは白髪や目尻にシワがありつつも美しい未来の中年女性が、次のシーンでは現在の若い女性に切り替わってカテキン緑茶を飲むという構成になっています。伊藤園によると、AIありきではなく、30年後の姿を表現するための方法としてAIを選択したといいますが、これが日本では初のAIタレントによるテレビCMとなりました」(芸能レポーター)

 ネット上には数多くのAI作品が投稿されており、今年5月には大手出版社である集英社がAIモデルを使ったグラビア写真「生まれたて。」を発売したことでも話題になったが、ついにCM業界にもAIタレントが殴り込みを掛けたというわけだ。AIタレントを起用することは企業側に多くのメリットがあるといい、今後は伊藤園だけでなく参入するところが増える可能性が高いとか。

「知名度のある有名人をCMを起用した場合、だいたい数百から数千万円のギャラが必要になりますが、AIタレントなら数十万程度で作成することができますからね。しかも、どんな過酷なシーンにも文句を言わず、伊藤園のCMのように年齢を自在に変化させたりと今までできなかった表現も簡単に実現できてしまいます」(CMプランナー)

 そして、一番とも言える利点は不祥事に強いところだという。

「AIタレントは不倫もしませんし、薬物に手を染めることもありませんので、CMを降板したり、億単位ともされる損害賠償や違約金が発生するなんてこともありません。また、ジャニーズのようにタレントが問題を起こさなくても、起用を見合わせなければならないなんてこともありませんし、ビッグモーターのように企業側の不祥事でタレントから契約解除をされることもないですからね。企業にとってAIタレントの登場は願ったり叶ったりかもしれません」(同)

 AIの登場で真っ先に仕事を失うのはCMタレントかもしれない。

(小林洋三)

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