「米Amazonが格安スマホ事業への参入を検討」と多くのメディアが報じて、業界が騒然としている。
現在は通信事業者と協議している段階だというが、実現すれば、プライム会員なら月額通信料10ドル(約1400円)で提供されるという。「無料の可能性もあると」と話す関係者もいることから、米通信業界に激震が走っているのだ。
アメリカでスタートすれば、やがて日本上陸となる可能性は高い。当然ながら、日本の通信事業者にとっても大きな脅威となるに違いない。
「かつてAmazonは『ファイアフォン』というスマートフォンを発売してわずか1年で撤退した過去がありますが、今回は『通信業者』としての参入です。大手から通信回線を借りて提供するMVNOとしてサービスの提供を検討しているというのです。現在は、米大手通信事業社であるベライゾン・ワイヤレスやT-モバイルら4社に値下げ交渉をおこなっているとされ、話がまとまればプライム会員向けサービスとして提供する計画と言われています」(情報誌ライター)
Amazonが格安スマホに参入する背景には、プライム会員数の伸び悩みがあるという。
米Amazonは昨年、プライム会員の年会費を20ドル値上げした。また、物価の上昇に伴い、Amazonで販売されている商品が軒並み値上げされていて、その影響で利用頻度が減り、退会を選択する会員が増えているのだ。会員数を増やすためには新たな付加価値が必須で、それがスマホ業界への参入だというのである。
「京セラが個人向け携帯端末事業からの撤退を発表し、らくらくフォンを製造・販売するFCNTが経営破綻するなど、日本のスマホメーカーの衰退が大きな話題となっていますが、もしAmazonの格安サービスが日本上陸ということになれば、日本のMVNO事業者どころか大手通信キャリアもダメージは避けられないでしょう。楽天が月額0円を廃止したことで解約する人が相次ぎましたが、Amazonがもし無料プランを提供することになれば、プライムに加入する人が殺到するかもしれません」(ITジャーナリスト)
米Amazonは「プライム会員向けの追加特典は常に検討しているが、現時点では携帯サービスを追加する計画はない」と説明しているが、果たして…。
(小林洋三)