「米ペンタゴン爆発」ニセ画像の拡散を助長させたツイッター「青バッジ」の罪

 5月22日、米国防総省の本庁舎(ペンタゴン)付近で爆発があったとの偽画像付きのデマツイートが拡散し、一時株式や為替市場で混乱が起きた。デマツイートは「青バッジ」付きの複数のアカウントから発信されており、これがデマの拡散を助長させたとの指摘がある。

「国防総省の近くで大爆発」とのツイートにはペンタゴン近くに巨大な黒煙が上がる画像が添付されていた。この投稿は瞬く間に拡散し、日本の楽天証券やトレイダーズ証券なども「ペンタゴン付近で大規模爆発」といった速報を出した。

 この影響で、ダウ平均は85ポイント下落し、ドル円も一時138円を割り込んだ。しかし、ペンタゴン近くにある消防署の公式アカウントが爆発や事件は起きていないとツイートし、国防総省もこれをリツートしたことで事態は沈静化した。

 デマツイートを投稿した複数のアカウントには「ウォルター・ブルームバーグ」といった米報道機関を装ったものもあり、青バッジが付いていた。そのため、多くの人は信ぴょう性が高いツイートだと思い込み拡散した可能性がある。

 その一方で、国防総省を守る「ペンタゴン防護局」の公式ツイッターには何のバッジも付けられていないためか、爆発を否定するツイートをしてもそれほどの拡散力はなかった。

「ツイッターはサブスクの『Twitter Blue』を導入したことで、有料会員に認証を意味する青バッジを付与する方針を示し、これまで公的機関や著名人などに無料配布していた旧認証バッジを削除するとしていました。しかし結局は多くの旧認証バッジが削除されないままで、バッジが公的機関や著名人などに配布されたものなのか、有料会員に配布されたものなのか分からない状態になっています。それが、今回のデマツイートを猛烈に拡散させた背景にあることは否定できません。今後も青バッジアカウントのデマツイートが株価や為替を操作してしまう可能性もあることから、ツイッターは早急に対応すべきです」(経済ジャーナリスト)

 致命的なデマ拡散がおこらなければいいが。

(小林洋三)

ビジネス