今日31日でJR留萌本線の石狩沼田〜留萌間が112年の歴史に幕を閉じる。北海道内ではこの10年で江差線(14年)をはじめ、留萌本線の留萌〜増毛間(16年)、夕張線(19年)、札沼線の北海道医療大学〜新十津川間(20年)、日高本線の鵡川〜様似間(21年)と廃止が相次いでおり、今回で6区間目となる。
今回廃止となる留萌本線の沿線住民からは「地元から鉄道が消えるのはさみしい」などの声も聞かれたが、これはあくまで感情論。実際、この冬に石狩沼田〜留萌間を取材で何度も往復したが、地元客は朝夕の列車に通学の高校生を多少見かけた程度で残りはほぼ鉄道ファン。通勤で利用している人の姿は確認できなかった。
そのことを沿線住民に聞くと、「この辺りは完全な車社会。ずっと留萌に住んでいるが鉄道には20年近く乗ってない」(50代男性)、「バスの停留所のほうが家や目的地に近くて便利。旭川まで1本で行けるし、料金もJRより安い」(60代女性)などのコメントが返ってきた。
昨年、JR北海道は今回廃止になる区間7駅の平日の平均駅別乗車人員を公表しているが(17~21年調査)、利用者がもっとも多い留萌駅でさえ35.2人。他は真布駅の2.2人、恵比島駅の1.6人、大和田駅の1.4人と続き、峠下駅、幌糠駅は1人未満、藤山駅に至っては0人となっている。
これまでローカル線をめぐっては「廃止になったら沿線が廃れる」との意見もあったが、現実にはそれ以前から過疎化が始まっている。また、近年廃止になった地域でも「鉄道がなくなって不便」などの話はまったく聞かない。20年に地元市民団体「留萌本線にまだ乗り隊?」が行ったアンケートでも56%と過半数以上が廃止に同意しており、住民の間でも廃止やむなしとの意見が占めている。
これまでは深川〜留萌を1日7往復運行していたが、留萌駅と峠下駅以外は通過する普通列車もあったほど。そもそも廃止区間には以前から深川経由旭川行きのバスが走っており、これに加えて4月からは朝晩に留萌〜深川の乗り合いタクシーの運行も始まる。
結局のところ、住民への生活の影響はなし。廃止は悲しいが、それが現実のようだ。
(高島昌俊)