第一生命が毎年公表している『第一生命「大人になったらなりたいもの」アンケート』第34回の結果が発表され、小学生・中学生・高校生のすべての男子と、小学生以外のすべての女子で「会社員」が1位に選ばれたことが明らかとなった。この結果に、ついに子どもたちは夢を見ることをあきらめてしまったのか、と嘆く大人が続出しているという。
同調査は全国の小学生・中学生・高校生の計3000人を対象に行われたもので、小学生男子では「サッカー選手」や「ユーチューバー」を抑えて1位に会社員が輝き、小学生女子でも「パティシエ」や「漫画家」に続き3位に会社員がランクインした。さらに、中学生、高校生の男女でもそれぞれ会社員が1位となった。
男子に関しては小中高と3年連続で会社員が1位になっている。大人になったらなりたいものランキングは1989年から実施されているが、一昨年まで会社員がトップ10に入ることは31年間なかった。
「新型コロナウイルスの感染拡大や物価高の影響を反映しているとも言われましたね。ただ、子供が会社員になりたいというよりも、親がそれを望んでいるのかもしれません。昨年、化学メーカー大手のクラレが保護者に実施した『子供に将来就いてほしい職業』アンケートでは、公務員が1位、会社員が2位にランクインしています。今回、第一生命が実施した調査では、新たに『憧れの人』を質問しているのですが、『お父さん・お母さん』がすべてのランキングで1位を獲得。将来のことや悩みを相談できる相手として選んだ子供も多かったようなので、親が勧める職業を大人になったらなりたいものに選んだ子供たちが多かったのかもしれません」(フリージャーナリスト)
子供のなりたい職業は、その時代を反映すると言われる。会社員になりたいという夢を持つことが悪いとは決して言えないが、今はそんな時代なのかもしれない。
(小林洋三)