福島原発の処理水放出に「影響力大きい」、「サンデーモーニング」に批判殺到

 東京電力は8月4日、福島第一原子力発電所でたまり続ける「処理水」の海洋放出に向けて本格工事を開始した。東京電力と国が示した計画によれば、福島原発から1キロ沖まで海底トンネルを掘削し、大量の海水でトリチウム濃度を希釈したうえで放出する。東京電力が運営する「処理水ポータルサイト」によれば、放出水のトリチウム濃度は、国の排出基準の40分の1に相当する「1リットル当たり1500ベクレル未満」。これは、WHOの飲料水水質ガイドラインである10000ベクレルを下回っている。
 
 福島県の水産業者や漁業者の最大の懸念が風評被害だが、8月7日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)で誤解を招きかねない発言が見受けられ、視聴者からは批判の声があがっている。

 この日の放送で番組は処理水放出に向けた工事着工について、地元自治体の了解が得られたニュースを報じる一方で、福島県漁連会長の「(2015年に)関係者の合意なしには海洋放出はしないという覚書を交わしていただきました」という声とともに、今も反対の立場を取っていることを伝えた。
 
 これに司会の関口宏は「工事を始めても放水できない。こういうことになりますか?」とコメントを求めたのは、法政大学前総長で名誉教授の田中優子氏。江戸文化の研究者と知られている田中氏はこう語った。
 
「廃炉するためには、やっぱりいろんな工事しなければならないので、放水も必要なんだろうと思うんですね。だけれども、それが海に対する環境の影響、非常に大きいというのもわかります。ですからこれ非常に難しい問題なんですけれども、結局は原子力発電の環境への影響というのは、それが止まった場合でも大きな問題を残すということ。改めて私たち、わからなければならないと思いましたね」

 処理水放出設備の工事は来年春頃の完成を目指している。年間最大22兆ベクレルのトリチウムを放出していく方針だが、中国や韓国の原発では、1年でこの倍以上の処理水を放出していたとの報告もある。
 
 やはり最大の懸念事項が科学的根拠に基づかない風評被害だが、今回の田中氏の発言を受けて、SNSでは《環境への影響が大きいってデマを流さないでほしい》《非科学的な風評コメントで福島を苦しめないで》《福島県民は抗議すべき》といった批判コメントが殺到。コメンテーターは発言の影響力の大きさを自覚すべきかもしれない。

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