A、B、O、ABの4つの型で示される血液型。「占いと輸血以外は何の役にも立たない」と思うのは早計だ。実は、血液型によって、「なりやすい病気」がわかるというのだ。現在進行形で研究が進む「血液型と病気」の意外な関係性に迫る。
そもそも血液型とは何か。歴史を遡れば、オーストリアの病理学者であるラントシュタイナーが1901年にABO式血液型を発見。これにより人体間における輸血法を確立したことで知られている。
その分類法は、いわゆる「ABO方式」と呼ばれる定義が今では一般化している。
中でも血液型による性格分析は、今でも日常的な会話で当たり前のように使われている。
「A型は神経質」「B型はおおざっぱ」「O型はおおらか」「AB型は二重人格」などと称されるが、科学的な根拠は今のところまったくないという。
だが、ここにきて「血液型と病気の関連」で血液型がにわかにクローズアップされている。
例えば、「A型はがんの発症率が高く生活習慣病にかかりやすい」と指摘されたらどうだろう。信じがたいだろうが、実は世界的にも血液型と病気の関係に関する研究は日進月歩で、日々アップデートされ、その精度も高まっているというのだ。
「血液型でわかるかかりやすい病気と対策」(扶桑社)の著者でもある久住英二医師(ナビタスクリニック理事長)によると、血液型を規定する「糖鎖の構造(抗原)の違いが、病気のかかりやすさと大きく関係している」ようで、
「血液型の違いは、赤血球の表面にできる糖鎖の違いによって、分類されています。ここにきて、再び増加傾向にある新型コロナのようなウイルスや、夏場に猛威を振るうO157のような細菌は、まず血液型糖鎖を足がかりにして感染するので、特定の血液型の糖鎖にだけ結合するタンパク質の性質を利用して、細胞内に侵入します。こうした病原体のメカニズムを解明すれば、血液型と病原体の関連を解明できるのではという研究が世界的に行われている。その関係性はまだ完全には解明されていませんが、予防や対策をする上では知っておいていいのではないでしょうか?」
久住医師によれば、A型は貧血に加え、脂質異常症などの生活習慣病になりやすいという。さらに、がんの発症率も一番高いという報告もあるという。
「がんは早期発見すれば、生存率も高い病気ですから、定期的ながん検診を行うことが肝心です。特に胃がんは、早期発見であればあるほど、完治率が高く、胃部内視鏡検査をお勧めしています。昨今ではコロナウイルスにかかりやすいとも言われているA型ですが、このコロナ禍での調査で、重症化や死亡率の高さとは関係ないというデータも出ています。逆にB型はかかりにくいとされていますね」
*血液型で丸わかり「かかりやすい病気、かかりにくい病気」(下)につづく