「富士山大爆発」をどう乗り越えるか(3)大噴火と地震は連鎖する

「火山大国」と言われる日本。富士山のみならず、現在も111の活火山が存在しており、その約半数が監視対象になっているという。京都大学防災研究所火山活動研究センター長・井口正人氏が力を込めて言う。

「111の活火山のうち、気象庁は50の火山を24時間監視しています。我々が名前を思いつくような火山はほぼ監視していると言ってもいいでしょう。富士山は〝いつか〟という言い方をすれば、必ず噴火します。大切なことは、地震や地盤変動などの前兆を察知することです」

 富士山の噴火とどう関連するのか、今注目されているのが、12月3日の午前6時37分に山梨県・富士五湖を震源地として発生した震度5弱の地震。さらには、同時間帯からわずか3時間後、9時28分には和歌山県沖でも震度5弱の揺れが起き、ネット上でも「#富士山噴火」や「#南海トラフ地震」がトレンド入りするなど関心が高まった。

 実は火山の噴火と大地震は、切っても切れない密接な関係がある。立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授・高橋学氏が説明する。

「富士山の噴火(1707年)の49日前には、宝永地震という海溝型地震がありました。巨大海溝型地震の後には火山活動が活発化する可能性が高いです。実は11年の東日本大震災の時にも5つほどの火山が大噴火しました。いずれも千島やカムチャッカ半島でしたので、日本ではあまり報じられていませんが、大震災の影響が考えられます」

 政府は19年、30年以内に南海トラフ地震が起きる可能性は70〜80%と発表した。それがM9以上の揺れであった場合、富士山噴火が触発される可能性は極めて高い。最後に、武蔵野学院大学特任教授・島村英紀氏(地球物理学)が今一度、警鐘を鳴らす。

「政府の言っている30年という数字はアテにならないシミュレーションですが、フィリピン海プレートが年々押してきているので歪みが起きているのは事実です。『今年起きなければ来年』というふうに、明日に起きてもおかしくない状況なのは明らか。常に危機意識を持った方がいいでしょう」

 数多くの天変地異と災厄を乗り越えてきた日本人の真価が問われようとしている。

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